受賞者紹介

第62回 社会貢献者表彰

一般社団法人 あまね

(佐賀県)
一般社団法人 あまね 代表理事 大野 真如
代表理事 大野 真如

障がいのある子どもを持つ親の共通した願いは「我が子より1日でも後に死にたい」。そんな親たちに寄り添うため、障がいのある子どもを生涯に渡る包括的支援を多機能型拠点で佐賀県小城市で行っている。胃ろう・透析・気管切開・吸引・酸素等、生涯にわたって医療ケアが必要な子どもの在宅サポート拠点、生活支援、急用や入院等の際、一時的に親が心と体を休めるレスパイト先がこれまで県内には無く、成人移行期の養育者からの不安の声があった。それらに応えるべく①親子に伴走できる在宅サポートを実施 ②安心できるショートステイでの受入れ体制の確立 ③子どもの終の棲家となる重度障がい者グループホームの運営。それらを、医師、看護師、保育士、児童指導員、機能訓練士、介護福祉士といった専門職も加わり、数々の支援を行っている。支援に必要な制度を、まずは行政に作ってもらう所から働きかけてきた。どんなに重い障がいがあっても、生まれてきた地域で、笑顔で最後まで暮らせる社会の実現を、活動の理念に掲げて、こんな支援があったらいいな、こんな風に安心できたらいいなに応えている。

推薦者:公益財団法人 笹川保健財団 会長 喜多 悦子

「医療的ケア児が地域で暮らし続けるために」

この度は、社会貢献者表彰式典において大変栄誉ある賞を賜り、厚く御礼申し上げます。また、推薦いただいた方々や選考委員の皆様に心より感謝いたします。

私は大学病院の手術部の看護師を経て、結婚し、お寺の嫁になりました。結婚後、16年前に得度し、僧侶としても活動しています。

僧侶になってすぐ障がい者の葬儀を務めることになりました。故人は県外の入所施設で亡くなられ、参列者は施設長と職員1名という、とても寂しい葬儀でした。

葬儀の後、住職から故人は元々お寺の近所に住んでおり、母親と二人暮らしだったと聞きました。母親が亡くなった後に身寄りがなくなり、県外の入所施設に入ることになったそうで、親亡き後、生まれてきた地域で最期まで暮らすことができない障がい者の現実を知りました。

しばらくして、私も妊娠しました。喜びも束の間、定期検診で「心臓が止まっている」と告げられました。悲しみに沈みながら、産婦人科医から「病気の子ども」を授かっていたかもしれないと告げられました。その時、入所施設で寂しく亡くなった方のことを思い出しました。これまでも障がい者との出会いはありましたが、あくまで他人事だったように思います。その時に初めて当事者としての意識を持ち、11年前に起業し、障害福祉事業を始めました。

それから、すべての事業で医療的ケア児者を受け入れ、成長に応じて、事業を拡大し続けてきました。ある母親の印象に残っている言葉があります。「この子より1日でも後に死にたい」子どもが先に死ぬことを願う母親がいるのです。親より後に子どもが亡くなるのが自然の摂理ですが、先に死んで欲しいと願わなければならないほど、未来が不安であり、社会資源がまだまだ不足しています。

 私は医療的ケア児者に関わる複数の事業を運営してみて、医療的ケア者の最期の住まいはどうしていけばよいだろうかと悩んでいます。様々な方法での看取りの場を想定して準備していく必要があり、また死後のグリーフケアや親亡き後の納骨の場等も考えていかねばなりません。

これからも、法人の理念であるどんなに重い障がいがあっても生まれてきた地域で最期まで暮らせる社会の実現に向けて、その時代の状況に応じた方法を模索しながら僧侶と看護師である立場から体制を整備し続けていきたいと考えています。

  • あまねクリニック(小児科)診察
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  • 看護師による医療的ケア
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  • 多機能型拠点あまねくいっさい
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  • 日中活動支援拠点いーはとーぶ
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  • あまね体育祭
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  • お花見
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  • クリスマス会
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  • アロマタッチ研修
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  • 県議会議員の視察受け入れ
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  • 高校生実習受け入れ
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