受賞者紹介

第58回 社会貢献者表彰
にんていえぬぴーおーほうじん しぇあ=こくさいほけんきょうりょくしみんのかい

認定NPO法人 シェア=国際保健協力市民の会

(東京都)
認定NPO法人 シェア=国際保健協力市民の会 共同代表 仲佐 保
共同代表 仲佐 保

健康で平和な世界を全ての人とわかちあう(シェア)ために、行動を起こした医師、看護師、学生などが中心となり、1983年に結成された国際保健NGO。全ての人が心身ともに健康に暮らせる社会を目指し“いのちを守る人を育てる”保健医療支援活動をカンボジア、東ティモール、日本で行う。カンボジアでの母子保健事業は30年以上に及び、2017年からはプレアビヒア州で現地の保健ボランティアや女性子ども委員会などと連携し「子どもの栄養改善1000日アプローチプロジェクト」を実施。2歳未満児の栄養状態の改善に取り組んでいる。東ティモールでは、ディリ県の僻地アタウロとメティナロに基礎的な医療機関にかかることも難しい妊婦や母子のために「住民参加によるプライマリヘルスケア強化事業」を実施。保健ボランティアの育成、ヘルスポスト(簡易診療所)の設置や「保健の船」と呼ばれる船舶を導入し、保健医療を促進させている。国内では、在日外国人母子を保健医療サービスにより多く繋げるよう、母子保健相談窓口を設置し、医療通訳者の活用を増進させると共に杉並区に多く在住するネパール人対象の母親学級を同区と協働で開催。外国人コミュニティで情報提供が進むよう女性普及員を育成している。いずれの事業も現地の人たちが主体となって取り組んでいけるように計画され、実施している。

推薦者:公益財団法人 笹川保健財団 会長 喜多 悦子

このたびは、歴史ある社会貢献者表彰を賜り、感謝しております。私たちは、1982年より活動を開始し、すべての人々が健康に暮らせる世界の実現を目指し、途上国のみならず、日本国内においても、困難な状況にある人々が自ら健康を改善することを支援して参りました。今回、多くの人々が、同じ思いをもとに、様々な活動していることに勇気をづけられ、今後も私たちの活動を継続していく思いを新たにしました。

現在の世界の置かれている状況は、特別なものです。新型コロナ感染症は、世界中のみならず日本でも猛威をふるっており、犠牲者の多さだけではなく、経済的にも世界の市民、住民に大きな影響を与えています。当初の予想を超え、オミクロン株のために、中々収まる傾向を見せません。また、ロシアのウクライナとの戦争も終わりそうもありません。アメリカ合衆国を中心とするNATOとの経済的争い、確執の中、ロシア側にもそれなりに理由はあるのはわかりますが、人道的には、許されることではありません。

シェアの設立の一つの要因となった1979年のカンボジア難民のことを思い出します。世界的に社会主義国家が生まれた中で、カンボジアで生まれた原始共産主義地域は特別なものでした。笑うことを許されない人々、ポルポト政権下の中、何も知らない少年兵を使い、知識層を中心に100万―200万の人が虐殺されたと言われています。このため、あの人懐っこいカンボジアの人々の「微笑は失われた」30年でした。今、ウクライナで起こっていることは、カンボジアで起きたことの再現と言えると思います。戦争が起きている場所では、人権は無視されます。保健協力もしようがありません。シェアが実施している「身に寄り添う」協力も不可能です。戦争が今すぐに終わることを願っています。

現在、東ティモール、カンボジアでは、コロナの流行が収まっていますが、コロナのために医療施設でのサービスが停滞をしています。国内の在日外国人母子の置かれた状況も、経済状態も含め、悪化している状況です。今回の受賞を励みに、今後も日本国内外の厳しい状況にある人々への支援を継続していきたいと思います。

共同代表 仲佐 保

  • エチオピア大干ばつでの避難民への救援活動。飢餓状態で訪れた子供を診察する代表の仲佐(1985年)
    エチオピア大干ばつでの避難民への救援活動。飢餓状態で訪れた子供を診察する代表の仲佐(1985年)
  • カンボジアの子どもの健康状態を見ている本田(2012年)
    カンボジアの子どもの健康状態を見ている本田(2012年)
  • 2000人が暮らす無医村に、ヘルスポストが完成しました!(東ティモール事業)
    2000人が暮らす無医村に、ヘルスポストが完成しました!(東ティモール事業)
  • アタウロ島の保健を支える「保健の船」(東ティモール事業)
    アタウロ島の保健を支える「保健の船」(東ティモール事業)
  • 妊婦健診の情報提供する保健ボランティア(東ティモール事業)
    妊婦健診の情報提供する保健ボランティア(東ティモール事業)
  • カンボジアの村での離乳食教室(カンボジア事業)
    カンボジアの村での離乳食教室(カンボジア事業)
  • 乳幼児健診時に保健教育を行う保健ボランティアさん(中央奥)(カンボジア事業)
    乳幼児健診時に保健教育を行う保健ボランティアさん(中央奥)(カンボジア事業)
  • 女性普及員の母子家訪問(在日外国人支援事業)
    女性普及員の母子家訪問(在日外国人支援事業)
  • 沐浴講習会に参加してくれたお母さんたちに、助産師が医療通訳と共に沐浴方法を教えている様子(在日外国人支援事業)
    沐浴講習会に参加してくれたお母さんたちに、助産師が医療通訳と共に沐浴方法を教えている様子(在日外国人支援事業)
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