市民グループええじゃん(Asian)
広島県廿日市市で中国残留孤児・留学生・技能実習生等、同市近郊に住む在住外国人との絆を大切に、その生活トラブルにも向き合い、地域に住む市民の協力で支えあおうと、2004年に立ち上がった市民グループ。広島県は日本で一番移民を海外に送ってきた県で、厳しい排斥運動にあっても、その地で次第に定住化を果たし、今も世界に28県人会を有している。その広島県で“日本一の移民の町から、日本一の共生の町へ”をスローガンに、在住外国人に対して、衣食住全てに関する相談を受け、トラブルに向き合い、寄り添い、お互いの理解と共感を高める為の活動を日々行っている。また、災害の際に言葉の通じない外国人が、支援から取り残されないように、避難訓練や行動の仕方を指導している。人口減少が進む日本では、今後も外国人労働者に頼らざるを得ない状況で、そのためには受け皿として、彼らが地域に溶け込み、快適な日常を送る為のサポートは必須。
明治の開国以来150年。一気に様変わりして先進国入りを果たした島国日本。しかし、その出自は紛れもなくアジアを母体とし、育てられた胎児の如き国。その列島の隅々にまで今なお残る文化や伝承もその証です。
大陸への出入り口であり、西の都でもあった大宰府と畿内を結ぶ中国地方は、1300年の昔から海陸共に国際色豊かな地であったと思われます。長い鎖国を経て、一転、開国に踏み出した際も、この地方の海外移民が多かったのも偶然ではない。とりわけ広島県は、ハワイ移民から始まり、北米、南米へと大勢が移住し、今なお世界中に28県人会を有する日本一の移民県となりました。その移民暮らしの辛酸を乗り越え異国に足場を築いたかと思った矢先の太平洋戦争。その中での強制収容や財産没収を受け、さらに、国内では人類史上初の被爆地となり敗戦を迎えた広島県民。辛苦のうえ戦後復興を成し遂げた今、現れた課題の一つが国内の国際化です。
多くの外国人が訪れ定住し軒を並べて暮らすようになりましたが、市民との接点が増えれば増えるほど、トラブルも自然に増え、誤解や差別の種も増える恐れがあります。永年の在日差別等が厳然と残り、加えて制度疲労さえ起こしている入管制度は国際批判まで浴びていますが、広島県民ならばこそ、その中で地に足の着いた形で移民を受け入れ、市民との共感を育み、この地に真の共生社会を実現すべきです。
「人種差別は魂の病だ。どんな伝染病よりも多くの人を殺す。悲劇はその治療法が手の届くところにあるのに、まだつかみとれないことだ。」とネルソン・マンデラが語った通り、この病を克服するのは容易なことではないが、何もしなければ必ず潜伏し、不意に襲い掛かってくるに違いない。市民グループええじゃんは、小さな団体ではあるが、同じ市民として隣人を見捨てず寄り添うことだけでもしたいとの想いから在住外国人の①ニッポン生活トラブル相談、②学習・就労支援、③トラブル体験会、市民交流の3事業を中心に18年間活動を続けてきましたが、これからは、一般社団法人として組織を強化し、外国人と日本人の専門家の力も借りて、多言語対応の広報と相談体制を強化したいと思います(LINE相談等)。
幸いにも三菱財団と中央共同募金会の共同の助成による助成金も頂けたので、目下のコロナ禍で孤立を深める在住外国人の生活支援と居場所づくりも急ぎたいと思います。最後になりましたが、この度の受賞は、誠に名誉であり、会員の励みともなります。
関係者一同心より感謝申し上げます。
代表 栗林 克行