安達 聖澄
保科 馨
2019年7月24日(水)山形市内では、夕刻からひどい雨が降り、午後7時半までの1時間に38ミリの雨が降るなど、局地的な大雨であった。市内各地では、冠水による通行止め、側溝から溢水被害等発生していた。当日19時45分頃、安達さんは、自家用車に保科さんを乗せて運転中、T字路を左折しようとしたところ、左前方から自転車に乗って走っていた男子高校生の姿が突然見えなくなった。安達さんは不審に思い、車を停めて辺りを確認したところ、高校生が乗っていた自転車が水路に転落しており、身体はくの字の状態で何かに引っかかり流されずに、頭部まで水没している高校生を発見した。安達さんは、水路に入り、腰の高さまで水に浸かりながら高校生の身体を持ち上げ、保科さんは道路から高校生の手を引っ張り水路から救出した。救出当初、高校生は意識が無かったが、道路上に救出した頃には意識を取り戻した。目の焦点が合わない状態であったが、声掛けをしながら救護を続け、救急車が到着する頃には高校生の意識状態は会話ができる状態まで改善した。
後日、自転車が落ちた水路脇にガードレールが設置された。
安達 聖澄
それは、一瞬の出来事でした。
その日は、夕方6時から開催される町内会の会合に参加するべく普段は歩いて向かうのですが、小雨が降っていた事もあり自家用車で向かいました。保科さんと私は、同じ町内の子供会役員として会合(以降 会)に参加しておりました。夕方からスタートした会でしたが、次第に雨も小雨からバケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨に代わり、会の最中にも何度か全国瞬時緊急警報システム(Jアラート)も鳴り始めた為、予定より早く会は終了しました。
一緒に参加していた保科さんでしたが、自宅が近所という事もあり私の車に乗って保科さんを自宅まで送って帰る事になりました。
いざ車を走らせると、ワイパーが役に立たない位の大雨で道路は所々で冠水しており、大通りでは冠水の影響で交通規制が行われて一部では渋滞も発生しておりました。
自宅より数百m手前の信号機の無い交差点に差し掛かった時、左折待ちをしていた私の視界に自転車に乗った男子学生の姿が見えてきました。学生は自宅への帰宅途中だったそうです。私は、学生が右折し終えたら左折しようと考え待機しておりました。
その時です。
私の車の前を通り過ぎる学生が突然私の視界から消えました。
あれっ?まさか、、、、。
この交差点は、手前にガードレールがありすぐ側を小さな川が流れています。
ガードレールから川までは2m以上の落差がありました。普段は水流が少ない川の為危険な川である認識はあまりありませんでした。
ガードレールとガードレールの間には、3メートル位の隙間がありました。
学生は眼鏡をかけて自転車に乗っていた事もあり、当時は視界が悪く誤ってそのガードレールの隙間を通れる道路だと判断してしまい、川に転落したのです。
私は、車を左折し助手席にいた保科さんに今の事情を説明し学生の救出に向かわせました。
車を安全な所に停車させた私も救出に向かいました。
慌てて現場に向かって行くと、側溝の中に浮いている自転車が見えてきました。
私は自転車を掬い上げ、安全な場所へ移動し終えた時でした。
「安達さん、ヤバイ。助けて!」
私は声がする方向に目を向けると、あの小川は激流となり道路の下を勢いよく流れる恐ろしい川に変化している光景が目に映りました。その側溝の中から全身水に浸かりかろうじて見える手だけを必死に掴んで今にも流されてしまいそうな学生の救助を求める保科さんの姿が飛び込んできたのでした。
私は夢中で側溝の中に飛び込みました。
その時、私と保科さんは恐怖心は無く、ただただ無我夢中で助けなきゃという思いの行動だったと思います。
増水した川に入り腰上まで水に浸かりながら学生をなんとか陸まで掬い上げました。
学生は救出直後、意識がない状態だったのですが、陸に到着するまでには意識は回復しておりました。
救急車要請をした後も、意識確認や身元確認など絶えず声をかけ続けました。
親御さんへ連絡をしたいと伝え、連絡も入れました。
唇からの出血と、落下した影響で左足の痛みがあるとの事で安全な所に座らせて止血処置をしました。
眼鏡と履いていた靴は流されてしまったのですが、尊い命が助かって本当に良かったと思っております。
後日、退院されお礼に来てくれた時の本人の元気な笑顔が今でも忘れられないです。
あの現場には後日ガードレールが新設され事故再発防止措置がされました。
あの時の出来事は一生忘れる事は無いと思います。
また、あの現場に私1人だけ直面した場合であっても果たして同じ事が出来たのか、それはやっぱり2人だからこそ協力して冷静な判断をし行動できたのではないかと思いました。
最後になりましたが、
この度は、公益財団法人社会貢献支援財団の人命救助の功績の決定及び、表彰式典に御招待いただき誠にありがとうございました。本来であれば、表彰式典に参加し他の受賞者との交流会に参加したかったのですが昨今のコロナ事情により不参加になってしまった事大変申し訳なく思っております。
これからも受賞した喜びと同時に気を引き締めて行動していきたいと思いました。
この度はありがとうございました。
保科 馨
令和元年7月24日の出来事です。安達聖澄さんと私は町内会の子供会役員として夕方6時から開催される会合に参加すべく普段は歩いて行ける所ですが、小雨が降っていた事もあり安達さんの自家用車で向かいました。夕方から開催された会合でしたが次第に雨の降り方も激しくなりバケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨に代わり、会の最中も携帯に数度全国瞬時緊急警報システムのJアラームが鳴り予定より早めに会合は終了しました。
帰りも安達さんの親切で車で送ってもらう事になりました。車を走らせると雨の降りが一段と激しくなりワイパーが役に立たない位の大雨になり道路は所々で冠水し幹線道路では交通規制が行われてアンダーパスは通行止めになり渋滞も発生しておりました。
自宅近くの信号機の無い丁字路に差し掛かり左折待ちしていた時帰宅途中の自転車に乗った男子学生の姿が見えました。男子学生が通り過ぎるのを待っていた時、車の前を通り過ぎる瞬間男子学生の姿が一瞬で消えました。この交差点はガードレールがあり道路の側2m位下を小さな川が流れておりますが普段は流れる水量も少なく川がある事は解りづらい所です。ガードレールは間隔が開いて設置されており1m位の隙間がありました。男子学生は大雨の影響で視界が悪く誤ってガードレールの隙間から下の川に転落したようでした。安達さんから声を掛けられ車を降り男子学生を救出に行きました、安達さんは車を安全な所に停車させから駆けつけて来ました。現場では川の水が溢れ側溝に浮いている自転車があり小川が激流に変わっていました。男子学生が全身水に浸かりかろうじて見える手を掴み、安達さんに声を掛け今にも流されてしまいそうな男子学生を無我夢中で助ける為、川の中に入りました。川の流れる先は道路の下を流れる為トンネルになっており男子学生の手を離すまいと必死でした、安達さんと私は水に浸かりながら男子学生をなんとか陸の上まで引き上げました。救出直後、男子学生は意識がない状態でしたが徐々に意識が回復しました。救急車を要請し男子学生の容態を見ながら身元の確認をしながら声を掛け続け、親御さんへの連絡先を聞き連絡しました。唇からの出血と左足の痛みがあるとの事で安全な所に座らせ止血処理をして救急隊員が来るのをまちました。自転車は引き上げましたが男子学生の身に付けていた物は流されたようです。後日、退院してきた男子学生の姿をみて嬉しくなりました。
あの時は二人とも救出の事だけ考え行動していたのですが、後に思いだすと恐怖心が湧いてきます。二人で協力して出来た事で一人では無理な行動でした。
この度は、公益財団法人社会貢献支援財団の人命救助の功労の決定及び表彰式典にご招待頂き誠に有難う御座います。本来であれば表彰式典に参加したかったのですが昨今の事情により不参加となり大変申し訳なく思います。
ありがとうございました。