松下 照美
23年にわたり、アフリカ・ケニアの地方都市テイカに住み、貧しい子家庭の子ども達の額支援、給食支援、ホームの運営、ストリートチルドレンの子どもたちの自立や就学支援に取り組んでいる。
松下さんがアフリカを最初に訪れたのは1990年代前半。ドキュメンタリー映画監督の小林茂氏に同行した取材旅行で出会った子どもたちが忘れられず、94年にボランティアとして移り住むことになる。96年にはケニアへ移住。99年には活動拠点となるNGO「モヨ・チルドレン・センター」を立ち上げ、2005年には入所施設を開設した。
現在は23人の子どもたちと寝起きを共にする一方、スラム街やタウン、学校等を見回り、子どもたちに手を差し伸べている。路上には、シンナーなど薬物中毒の子どもが大勢いて、更生を妨げているとして、2017年には外務省の「草の根無償資金」と日本国内からのクラウドファンディングの募金によって、ドラッグリハビリセンターを開設した。農作業のプログラムを導入しながら、粘り強く支援に取り組んでいる。
社会貢献支援財団から、私が社会貢献者表彰受賞内定の報を受けたのは去る2月7日。「?」と首を傾げました。社会貢献者表彰という賞については聞いていましたが、まさか私が選ばれるなどとは夢にも思っていませんでした。「寝耳に水」とはこういうことを言うのでしょうか。私を推薦くださったのが、私の地元の「徳島新聞東京支社」だとお聞きし、納得しました。と言うのは今までに何度か私の活動を取り上げてくださっていたからです。有り難いことでした。
思い起こせば、1994年にウガンダの子どもたちに出会い、それから2年ウガンダで、その後ケニアへ移住、ケニアの子どもたちと共に歩み始めて23年が過ぎました。合わせると四半世紀をアフリカで過ごしたことになります。その間、色々なことがありました。嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこと、辛いこと、腹立たしいこと等々。ただ不思議にも一度も日本へ帰ろうと思ったことはありませんでした。子どもたちの魅力がそれだけ強かったということでしょうか。それとも子どもたちの命に関わり、私でも何かの役に立てる、必要としてくれる存在への喜びだったのでしょうか。
現在はケニアの首都ナイロビから北東に約50キロのティカという街で、子どもたちのケアをしています。①ホームの運営(男の子・4歳〜16歳・18名) ②ストリートの子どもたちのリハビリ(有機農法を通じてのドラッグ・リハビリセンターを中心に) ③貧しい家庭の子どもたちの学費支援 ④小学校での給食支援を4つの柱として活動しています。日々子どもたちが起こす問題に振り回されながらの毎日ですが、笑いあり、涙ありの日々は私にとってはかけがいのない日々です。多くの皆様に支えられながらのこの25年間、現在74歳になり、いつまで現場で活動できるのか心許ない思いもありますが、身体の続く限り、必要とされる限り、命のある限り子どもたちと共に歩み続けたいと思っています。
最後になりましたが、今回の受賞に心よりお礼申し上げます。私をアフリカに導いて下さったドキュメンタリー映画監督・小林繁氏、私が主宰するセンターの役員会議長・ボビー・ムカンギ氏、私の姉、妹に同伴されて授賞式に臨めたのは本当に嬉しいことでした。加えて多くの受賞者の方々のお仕事に触れ、今後への大きな力と励みを頂けたのは、有り難いことでした。こういう機会をくださった主催者の皆様へ、心よりの感謝を捧げます。