佐藤 定子郎
2018年8月14日の早朝6時頃、新聞配達を日課としている佐藤さんは、配達後に仮眠していると、「助けて!火事!」という叫び声と共に飛び起きた。隣の棟3階の部屋から火と煙が濛々と出ていた。佐藤さんと管理人は同時に駆けつけ、玄関から呼びかけるが、「煙で目が痛くて開けられない!」とパニックになった父親の声。そこへ、上の子どもだけが玄関ドアを開けて飛び出してきた。その子を管理人に託して避難させた。子どもがドアを開けたことで玄関からも勢いよく煙が噴き出す。もう一人いるはずの子どもと父親に声で誘導するように何度も呼びかけていると、ようやく父親が子どもを引きずるようにして出てきた。二人とも目が見えずパニックになっており、佐藤さんは子どもの反対側の手を掴んで、二人をアパートの1階まで誘導し屋外へ救出した。
その後、逃げ遅れた人がいないか、再び棟内へ戻って確認を行った。その後、助けた子どものところへいくと、恐怖のあまり佐藤さんに抱き着いてきた。その勢いで子どもと一緒に後ろに倒れ込み、子どもをかばったために佐藤さんは左ひじを負傷。元航空自衛隊ということもあり、佐藤さんの冷静で的確な救出行動が親子を救い、逃げ遅れなどによる被害の拡大を防いだ。
この度は、公益財団法人社会貢献支援財団の表彰式典に御招待頂き誠にありがとうございました。
私が受賞させていただいた経緯といたしましては、その日は仕事の新聞配達を終えて仮眠をしていると外から「助けて!火事!」という声が聞こえたため外に出て確認すると隣の棟の3階の一室から火と煙が出ていることを確認しました。
管理人と共に現場に向かい、玄関から呼びかけてみると奥の方から「煙で目が痛くて開けられない」とパニックになった父親の声がしました。そこに上の子どもだけが玄関の扉を開けて飛び出してきたのでその子を管理人に任せて避難させました。その後ももう一人の子どもと父親に誘導するように声をかけると、なんとか父親が子どもを引きずるようにして出てきました。
しかし2人とも煙で目が見えなくなっており混乱していたため、手を引いて屋外まで誘導し、逃げ遅れがないか再度棟内に戻って確認を行いました。
その後消防や救急が到着し、無事親子を救うことができたと安堵する気持ちでいっぱいでした。
そして今回式典に参加させていただき強く思ったことが、受賞者の方々の話を聞きその活動の素晴らしさや苦労を考えたときに自分の考え方を見直すきっかけになりました。
自分の人生や命を顧みず、他人のために社会貢献を行う方々に対して感動させられ、そのような方々と共に表彰していただき、交流の場も設けてもらえることはこれほど名誉なことはないと感じました。
昨今は、地域や人の繋がりというものが薄れてきているように感じておりましたが、このような社会貢献を通した人と人の繋がりを認識させていただき、人の繋がりは何よりも大切なものであることを再度認識させていただきました。この思いを胸にこれからも自分にできる社会貢献をしていき、皆が豊かに暮らせる一助ができればと存じます。
末筆ではございますが、社会貢献支援財団の益々のご発展とご活躍をお祈り申し上げてお礼の言葉とさせていただきます。この度は誠にありがとうございました。