国際交流Seya
横浜市瀬谷区で外国人に日本語を教えて今年で25年を迎えた市民団体。代表の舩矢多紀子さんが、「地域に暮らす外国人に安心して少しでも楽しく毎日を送ってほしい」との思いから1993年に日本語教室を始めた。
当初は、生徒1人に先生が3名で日本語を教えていたが、2年後には生徒の人数も25名ほどに増え、1対1で教えるようになった。日本語教室のほかに生け花や料理教室、クリスマス会、講演会などイベントを通じて互いの交流の輪を広げてきた。生徒の中には、日本語教室で勉強中に突然悩み事を相談してくることもあり、話を聞いてアドバイスをしたり、内容によっては、公的機関に同行したりすることもあった。
日本語教室は、毎週水曜日の午前中に開催しており、中国、ベトナム、フィリピン、タイなど10ヵ国の約30人が利用している。20年ちかく教室に通って勉強している人もいる一方で、日本語能力試験一級・二級に合格して社会で活躍している人も大勢いる。何人かは介護や通訳などの専門職にも就いている。
会のスタッフは、25名程で、50歳.80歳の主婦や退職後の男性がボランティアで教えている。生徒一人ひとりの学習記録をつけて、何を学習しているのか、これから何を習いたいかなどの情報を、スタッフ全員が共有できるように工夫して活動を続けている。
この度は私どもの活動を表彰して頂き、誠にありがとうございました。その上副賞まで頂戴し、心からお礼申し上げます。
思いがけない受賞だった上に、表彰式・祝賀会に、活動を共にしてきた20名余りのスタッフを全員招待していただけたのは、大変うれしいことでした。帝国ホテルでの盛大で華やかな式典では、安倍昭恵会長から直接表彰状を頂き、内館牧子選考委員長のお話も伺い、この上ない栄誉を皆で共有することができました。続いてのおいしいお料理を頂きながらの祝賀会へ参加したことは、無報酬で25年を共に歩んできたスタッフへの何よりのねぎらいでもありました。
活動を始めたきっかけは、「入学を控えた我が娘に、日本のお母さんと同じように、字の書き方・読み方を手ほどきしたい。どなたか教えてくれる人はいませんか?」という話を伝え聞き、その親心に共鳴したことでした。
週1回の日本語教室は平日の午前中ということもあり、学習者は子育て中の主婦が多く、教えるスタッフは子育てを終えた主婦を中心に退職後の男性が数名といったメンバーで続いています。初心者に教えるのが一番難しく、日本語の教え方を専門学校や講習会で学習した者が対応し、教師など社会経験のある者は、日本語検定試験を目標にするなどレベルアップを目指します。
授業に加えて行っているのは、年1回、消防署の協力を得て「防災訓練」を、また月1回、「今日は私が話します」と題して日本語で皆の前で5分位のスピーチをすることです。大勢の前で話す自信がつき、「PTAの役員を引き受けてしまいました!」「自治会の役員になりました!」といったうれしい報告もあります。
ほぼマンツーマンでの授業では、時折困ったことの相談を受けることがあります。子どものいじめ問題、お姑さんとの行き違い、職場での思いがけない出来事…など。覚えた日本語でそれらを乗り越え、明るくたくましく日本社会にとけ込んで行くのを目にした時はほっとします。
最近気になっているのは、夫は会社で、子どもは学校で日本語を覚えているのに、気がつけば自分は片言のみで読み書き会話は全然ダメ。家族や社会から取り残されてしまっているという場合です。若いうちは同国人とのおしゃべり、情報交換で不自由は無くても、年を取るにつれ孤立して行きます。「日本で暮らすからには日本語を覚え、安心して老後を送ってほしい」と改めて強く念じずにはいられません。
この度の受賞では 全国のすばらしい活動をしておいでの方達とお会いできました。私たちもそのお仲間に入れて頂いたことで誇りと自信を持ち、今後の活動の何よりの励みとなりました。ありがとうございました。
代表 舩矢 多紀子