あさお落書き消し隊
神奈川県川崎市麻生区の新百合ヶ丘駅周辺地区は、整然とした秩序ある街づくりが評価され1998年に「都市景観100選」を受賞したが、2000年頃から駅前ロータリー、ペデストリアンデッキの柱や壁が落書きで汚され、来訪者からの苦情もあった。
2005年に"新百合ヶ丘駅周辺景観形成協議会"と"麻生まちづくり市民の会"が協働で「あさお落書き消し隊」を設立。"落書き"という小さな犯罪をなくすことが凶悪犯罪の芽を摘むという「ブロークン・ウィンドウ」理論の考えで「書かれたらすぐに消す」をモットーに活動している。
"年に1.2回大規模で行う落書き消し"と"出前落書き消し"を行っており、大規模な落書き消しは、区のホームページやチラシなどで呼びかけて集まった市民、近隣の企業、地域行政機関などと一斉に作業を行う。多い時は、70名程の人が集まり新百合ヶ丘駅、百合ヶ丘駅、柿生駅等の駅周辺の落書き消しを実施する。
「出前落書き消し」は、市民等からの"落書きを見つけた情報"を得て、その都度実施している。
その他、落書き消しフォーラムを開催し、専門家の講演など啓発活動も行っている。
13年の地道な取り組みで、駅周辺から落書きは激減したが、区内では今でも落書きはなくならない。今後も活動を通じて「街に興味をもってもらう」ことで区内の美化と安心安全な街づくりを目指している。
神奈川県川崎市麻生区の小田急線新百合ヶ丘駅を下車し南口に向かうと、美しく整然とした緑に囲まれたバスターミナルの光景が広がります。2000年頃のこのバスターミナル周辺は、ひどい落書きで埋められていたことが嘘のようです。その光景は、整然とした秩序ある街づくりが評価され 1998 年に「都市景観 100 選」を受賞した街だとは信じがたいものでした。駅前ロータリー、ペデストリアンデッキの柱や壁が落書きで汚され、来訪者からの苦情もありました。
「落書き」という言葉で思いつくのは、世界各地の地下鉄の落書きや凶悪犯罪の多発地域での落書きです。ヨーロッパ各地でも、特に駅周辺での落書きは、美しい街の風景とは似つかない光景にがっかりしたこともあります。
このような中で、アメリカで犯罪撲滅のために取り組まれたのが、「ブロークン・ウィンドウズ(壊された窓)」理論という考え方です。壊された(割られた)窓をそのままにしておくと、人の監視が及ばない場所だと思われ、軽犯罪が生まれ、次第に凶悪犯罪へと進んでいく。「落書き」の放置も同様な意味を持つ、とした理論です。それを実践したアメリカ各地では犯罪減少の実績が挙げられています。
新百合ヶ丘駅周辺では、2005 年に「新百合ヶ丘駅周辺景観形成協議会」と「麻生まちづくり市民の会」が協働で「あさお落書き消し隊」を設立。「落書き」という小さな犯罪をなくすことに取り組みました。「書かれたらすぐに消す」をモットーに活動しています。
年に 1~2 回大規模に行う「一斉落書き消し」と「出前落書き消し」を行っています。「一斉落書き消し」は、区のホームページやチラシ、最近ではSNSなどで呼びかけ、集まった市民、近隣の企業、地域行政機関などと一斉に作業をします。多い時は、70 名程の人が集まり新百合ヶ丘駅、百合ヶ丘駅、柿生駅等の駅周辺の落書き消しています。
「出前落書き消し」は、市民等からの「落書きを見つけた」という情報で、その周辺の町会の方たちにも参加してもらい、その都度実施しています。その他、落書き消しフォーラムを開催し、専門家の講演など啓発活動も行ってきました。
14年の地道な取り組みで、駅周辺から落書きは激減しましたが、区内では今でも落書きはなくなりません。消したところにすぐまた書かれることもあります。これまでの活動に評価をいただき、表彰いただいたことは、うれしいことですし、励みにもなります。今後も活動を通じて「街に興味をもってもらう」ことで、区内の美化と安心安全な街づくりを目指していきます。
隊長 白井 勇