受賞者紹介

第51回 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

むつみにほんごがっこう

むつみ日本語学校

(カンボジア)
むつみ日本語学校 代表理事 檜尾 睦
代表理事 檜尾 睦

岡山県の中学校に勤務していた檜尾睦氏は日本語教師の資格を取得し,所属していたNPO法人から派遣され,2000年にカンボジア・シェムリアップ州のチェイ小学校で日本語教室を開講し,およそ1,000人(2015年1月末まで)の子どもたちに日本語や日本の文化などを教えた。派遣を終えて2015年に,自らNPO法人日本・カンボジア教育支援協会を立ち上げて,シェムリアップ州の「公立大正小・中学校」内に新たに「むつみ日本語学校」を開校した。現在小学校3年生から高校3年生までを対象に,カンボジア人教師1名と共に無償で日本語を教えている。
授業は平日の午前と午後(月曜から金曜まで)に二部制で実施し,それぞれ約30名の子どもたちが熱心に学んでいる。授業では日常会話の練習に力を入れており,その他,かるたやこま回し等の日本の遊びや絵本の読み聴かせ,日本の歌などを取り入れている。年間を通して現地への参観希望者や岡山市内の小・中・高等学校とも交流し,特に中・高等学校の生徒約70名が,毎年カンボジアを訪問し現地交流を深めている。2015年.16年度は中学生3名が来日し,岡山市内で3週間のショートステイを体験。来日した3名の中学生は,それぞれ日本語だけでなく,日本の学校生活やホームステイによる家庭生活を経験し,帰国後は具体的な目標をもって「むつみ日本語学校」のリーダーとして活躍している。2016年度からは,毎年日本の高等学校への長期留学も実現している。子どもたちが1年間の長期留学を終えて現地の高校を卒業した後の自立のための支援,日本語の習得を生かした就労に向けた支援も計画中である。

推薦者:棚橋 知子

この度の受賞は私の人生にとって大きな忘れられない嬉しい出来事となりました。

ひとつは、NPOを立ち上げた時から活動を共にしている事務局長と一緒に帝国ホテル東京で受賞式に参加し、これまでの私たちの活動が認められた喜びを共有できたことです。

もうひとつは受賞式に参加させていただいたことで、日本の国内外で素晴らしい社会貢献活動をされている方々と親密にお話しすることができたことです。受賞式に参加できていなかったら、このような活動をされていることを知ることもなかったと思います。

特に事務局のある岡山の地で活動されている「NPO法人おかやま入居支援センター」の方々や「むつみ日本語学校」がある同じカンボジアの地で活動されている岩田亮子さんと知り合うことができて本当に良かったと思っています。これからは他の団体ともつながりを持ちながら活動していきたいと素直に思いました。

カンボジアに帰ってすぐに、この受賞の感動を「むつみ日本語学校」の生徒達にも知らせました。お土産の日本のお菓子でお祝いもしました。生徒たちは目をキラキラさせて私の話を聞いてくれました。

ところで、「むつみ日本語学校」の運営母体であるNPO法人日本・カンボジア教育支援協会も今年で4年目を迎えました。この4年間で、現地で雇用しているカンボジア人の日本語教師が結婚出産を経たお蔭で、子育てしながらでも働きやすい環境を整備することができました。日本語教師を目指して彼女に続こうとする生徒たちのためにも有難いことだと思っています。

また、社会状況も大きく変わり、2000年にカンボジアに渡った時と今では子どもたちを取り巻く状況が異なっています。当初は、貧しい子ども達が日本語を習得することで、ガイドやホテルなど現地での就労に役立つと考えていましたが、むしろ日本語を生かして、日本に就労先を求めるケースも出ています。子どもたちの将来を見据えた支援を考えなくてはならなくなりました。今はNPO法人の規模や財源の関係で長期留学は1年間ですが、将来を考えると高校3年間、大学までというように、長期の留学も考えていかなくてはなりません。日本語をしっかり勉強したことが、子どもたちの就労に大きく役に立ち、やがてはカンボジアの国を支える大人になってくれることを願ってこれからも活動を続けていきたいと思っています。

代表理事 檜尾 睦

  • 授業風景(あやとり)
    授業風景(あやとり)
  • 授業風景(かるた)
    授業風景(かるた)
  • 授業風景(歌の指導)
    授業風景(歌の指導)
  • 新校舎に看板設置
    新校舎に看板設置
  • 新校舎の外掃除
    新校舎の外掃除
  • 日本の中学生との交流
    日本の中学生との交流
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」