社会貢献の功績
一般財団法人ワンネスグループ
2005年に薬物依存に対応する回復支援団体を前身として、その後アルコール・ギャンブル等様々な依存症に悩む人に向けた回復施設、一般財団法人ワンネスグループを奈良・名古屋・沖縄の3都市、8施設で運営し、また、東京、横浜、大阪に来所相談拠点を設けている。特徴は、薬物以外の多種多様な依存に対応し、女性専用の施設を有すること、そして、海外の先駆的回復のための様々なプログラムを現地で学び、その手法を積極的に取り入れている事。また、包括的依存症支援として、予防教育・回復支援・再発防止・雇用創生・専門職化など、統合的なアプローチで、それぞれの利用者に向きあっている。またその手法も日々進化する中で、世界最新の情報を入手し、利用者のみならず、その家族を支えた活動を行っている。
活動内容は、①依存症の本人・家族の支援 ②カウンセラーとなる専門家の育成 ③回復プログラムの開発 ④予防教育 ⑤就労支援を柱に、依存症回復支援施設の運営から、依存症を知るセミナーの開催、回復期の利用者が働く場所の提供、家族からの相談に応じたりと幅広い。例えば農業プログラムや犬の世話を通じて信頼関係を築くトレーニング、体を動かしたり、ヨガなど内なる自分に向き合うプログラムも取り入れている。画一的な方法ではなく、それぞれの性格や環境にあったプログラムによって、依存症者を回復に導く活動を13年に亘り続けている。
社会貢献者表彰を頂きましたことを、心より感謝申し上げます。
この栄誉は「人と人のつながり・・・ワンネスマインド」で頂いたものだと思います。国内8つの依存症回復支援施設(奈良、名古屋、沖縄)や、依存症者の雇用創生を目的とした農園(奈良、三重)を担うスタッフたちの日々の努力。相談拠点(東京、横浜、大阪)を担うスタッフたちの地道な取り組み。施設を利用し社会復帰を目指すメンバーやそのご家族に支えられ、さらには施設運営や支援プログラム提供に協力いただく皆さまの存在は欠くことができません。そして、全国各地や海外から私たちの活動を応援してくださる皆さまとつながって、この瞬間も、依存の渦中で苦しむご本人やご家族に助けの手を差し出すことができるのです。
アルコールやギャンブルなどの依存症は、アディクション(addiction / 嗜癖)という言葉でも表現できます。そして、アディクションの解決に必要なのは「コネクション(connection / つながり)」なのだという声を、最近耳にするようになりました。私を含むワンネスグループスタッフのほとんどは、それを言葉だけではなく身をもって感じているのです。
依存対象に出会う前から生きることがしんどく、人の輪の中にいても孤立感を抱えていた私たちにとって、アルコールやギャンブルなどがもたらす刺激や高揚感は時に孤立感を払拭し、時に‘なりたい自分になれた’感覚を与えてくれました。単なる楽しみの範疇を超えて問題が頻発しても、そんなメリットを手放せずに依存は進行し、結局は孤立していったのです。孤立から抜け出るために使ったアルコールやギャンブルで孤立に至った、その時のどうにもならない苦しみを救ってくれたのは、かつて同じ様な苦しみを経験しながらも脱却していった人たち・・・仲間たちの存在でした。「うん、わかるよ。抜け出したいのに抜け出せないときの気持ちは、私も経験した。」「そうだよね、依存をやめても生きづらいよなぁ。分かる、分かる!」アルコールやギャンブルの存在が問題なのではなく、自身の生きづらさが問題だということを知り、解決の必要があることやその方法があることを知ったのは、まさに「コネクション」があったからです。
私たちは、経験者だからこそ伝えられること、差し出せることがあるとの信念のもとに、北海道は稚内から沖縄の離島まで現地へ伺ってメッセージを発信しています。机上の論理で依存症問題を語らない。どこまでも実際に足を運んで問題に向き合っていく。社会貢献者としての誇りを胸に、これからは助けを求める方々に手を差し伸べていくことに加えて、助けを求めても良いのだと思ってもらえるように依存症理解促進に寄与する活動も深めてまいります。
一般財団法人ワンネスグループ
共同代表 三宅 隆之