社会貢献の功績
青木 義道
滋賀県湖南市立日枝中学校英語教諭。学生時代にブラジルへの留学経験があり、ポルトガル語やスペイン語が話せることから、外国人の割合が4%と高い同市で、教室での授業についていけない外国籍生徒に別室での日本語指導や支援を行っている。また、日本の学校システムに不慣れな外国籍の保護者からの問い合わせを引き受けるほか、家庭訪問や三者懇談会には通訳として担任に同行し、支援を行っている。学校からの配布書類を翻訳してもなかなか読んでもらえないことからImportante!(重要!)というスタンプを考案し、書類に押したところ、抜群の効果を発揮し、全国の研修会で披露したところ「ほしい」という声があがり、全国販売されることになった。この取組を知ったブラジルの国民的漫画家マウリシオ・デ・ソウザ氏が感動し、日本に住む外国籍の子どもたちを支援するための「モニカスタンプ」の取組へと発展することとなった。また、地域の人々との国際交流を目的として、成長した教え子たちとともに、ボランティアグループ「カリーニョ」を結成し、ポルトガル語講座やスペイン語講座をはじめとする様々な活動を行っている。
この度は社会貢献支援財団様より、名誉ある賞をいただき光栄に思いますと共に、心より感謝申し上げます。受賞式では、国内外でご活躍されている多くの方々の活動の一端に触れることができたことも大きな財産となりました。
私は外国籍生徒の数多く在籍する湖南市立日枝中学校で教員をしています。2016年、共に子どもたちへの日本語指導をしているボランティアの友人から、地域でさらなる国際交流をするためにポルトガル語を教えてほしいと頼まれました。私は教え子の日系四世の青年に講師を依頼しました。ブラジルで生まれ日本で育ち、社会人となってがんばっている彼が適任だと思ったからです。彼は私の申し出を快諾し、3人で「カリーニョ」という名のポルトガル語教室を始めました。「カリーニョ」とは、ポルトガル語で「優しさ」を意味します。この講座には、地域のボランティアや教員、学生が集うようになりました。こうした仲間と共に、地域の外国人と日本人との身近な国際交流を目標に発足したのが国際交流ボランティアグループ「カリーニョ」です。
「カリーニョ」では、ポルトガル語講座の他に、スペイン語講座、日本や海外の文化講座、国際交流イベント、在日外国人子弟への学習支援、学校現場や地域社会への講師派遣など様々なボランティア活動を行っています。ブラジルやペルー、日本など、様々な国籍のメンバーが活動をしています。彼らは、日本で言語や文化の壁に苦労しながら生活している子どもたちや保護者のよきモデルとして活躍しています。先輩たちの活動に刺激を受け、前向きにがんばろうとする中高生が少しずつ増えてきていることは大変喜ばしいことです。
日本で生活する外国人はますます増えていくことが予想されます。「カリーニョ」のメンバーのように、国際交流に関心を持ち、日本社会で活躍する様々な国籍の若者が増えてきていることに心からうれしく思います。私たちは、今後も地道な活動を続け、日本と外国との懸け橋となるような子どもたちが多方面で活躍することを願っております。
末尾になりましたが、この場をお借りして日頃私の活動を理解し温かく見守ってくれている家族や友人、共に活動してくださる多くの方々に深甚なる謝意を申し上げます。
この度は誠にありがとうございました。