社会貢献の功績
うぇるかむはうす
1998年北海道札幌市のカトリック札幌司教区に開設された、道内に在住する外国籍の人々への支援施設。開設当初から日本語教室の開催や多文化を背景に持つ「ダブル」の子どもたちの学習支援を行っている。各国の料理や食文化を通した交流会の開催や各国の祝日にちなんだイベント交流会をも行うほか、外国人が直面する医療、仕事、人権、家庭問題などの相談窓口となっている。
「うぇるかむはうす」は外国籍の人々への支援施設の名前というだけではなく、両手を広げて「ようこそ」と外国人を支援する窓口として活動してきたことが認められたことは大きな意義があります。丁度、昨年からスタートした教皇フランシスコが提案された’Share the Journey' (排除Zeroキャンペーン, 直訳は人生の旅を分かち合おう)の「出会いの文化」をすでに「うぇるかむはうす」が日々の中で大切にし、外国人のために奔走してきたその実り、その結果が評価に繋がったのだと思いました。また、フィリピンからの信徒宣教師のメリンダさんとエディタさんの永年に渡る北海道での活動が画面一杯に紹介されたことも喜ばしいことでした。二人は今年帰国されましたが、一緒にこの受賞を喜びました。
今回受賞式典に参加し、日本全国で同様の活動をしている団体の活動を聞く機会を得て大変参考になりました。それぞれの地域性、特殊性による事情は異なるものの、時代の流れに従い活動の仕方も変化がみられます。中でも埼玉県の「ふじみの国際交流センター」では発足(うぇるかむはうすの1年前)から21年目を迎え、かつて支援を受けていた外国人が支援する側となってボランティアに来るという話に感銘を受けました。
「うぇるかむはうす」の近くには北海道大学があり、外国人留学生、研究者も多く集うというのも特徴ですが、最近では東南アジアから、とくにベトナムからの語学研修生、実習生も増えてきており、そこから生じる様々な困難さにも取り組むようになっています。
ダブルの子供たちの教育支援は気が付いてみると、多くはすでに大学生、社会人、あるいは母親になっており、日本の学校を卒業し、学習言語も日本語となり、最近では彼らの支援は殆ど必要がありません。日本の児童と同じように学習塾に通うようになったのは親の生活が安定してきたからでしょうか。
各国の料理や食文化を通した交流会も北大祭、大通り公園での食のイベントで物珍しさも薄れてきていますが、それが何であれ食を介した交流は,お互いを知るうえでやはり必要不可欠だと思われます。
このような時代の変化の中で外国籍の定住者の支援の内容も日本人が直面するのと同じ人生の問題、医療、仕事、進学、家庭等となってきています。「うぇるかむはうす」においてもかつて支援を受けていた側の外国人も一緒になり、共に人生の旅路を希望をもって、恐れず進むというのがこれからの私たちの指針となるようです。Share the Journeyと。
「うぇるかむはうす」 ボランティアスタッフ 大竹 葉子、西田 あつこ