社会貢献の功績
特定非営利活動法人 アクセス-共生社会をめざす地球市民の会
1988年から京都市に拠点を置き、フィリピンと日本で貧困問題に取り組む国際協力NGO。「10人に3人が小学校を卒業できない」とされるフィリピンの都市貧困地区と農漁村貧困地区で、子どもを対象に奨学金の支給や学校建設、授業料無料の幼稚園運営、給食などの教育支援事業を行い、女性には収入を得てもらうための仕事を提供して、生活改善のための支援活動を続けている。日本国内では、教育機関での講義や講演などの啓発活動、フェアトレード商品の開発・販売やボランティア活動の促進などを行っている。スタディツアーや現地訪問を通じて日本とアジアの市民の相互交流をすすめ、アジアに市民のネットワークを広げて、貧困のない、基本的人権の尊重された平和なアジアをつくることをめざし活動している。
このたびは、社会貢献者として表彰いただき、誠にありがとうございます。「フィリピンで出会った友人たちの力になりたい」と願う人々による29年間の営みが、こうして認められたことを、とても嬉しく思っています。
1988年に活動を始めた当会は、1990年にはフィリピン現地事務所を開設し、フィリピンの仲間たちと共に貧困削減に取り組んできました。以来、さまざまな試行錯誤や失敗を繰り返すなかで、私たちが大切にしたいと思うことが少しずつ形になってきました。それは、以下の2つの考え方です。
- 貧困問題を解決する主体は、日々貧しさと苦闘している住民自身であり、貧困問題を解決したいと願う一人ひとりの市民である
- NGOとしての当会のミッションは、 こうした貧困と苦闘する住民や、貧困問題を解決したいと願う市民の問題解決力の向上であり、両者の間の直接の協力関係を創っていくことである
当会の奨学金(里親)プログラムでは、日本のサポーターにお金を出していただき、小学校への就学を支援していただいていますが、単に経済的な支援を行うだけでなく、保護者の組織化を進め、子どもの権利に関するセミナーや研修を行うことで、自分たちで問題を解決する力をつけてもらうよう働き掛けてきました。そうした日々の営みの中で、保護者会の会議では、小学2年生の子が教師に頭を叩かれ学校に行くのが怖くなったしまったことについて話し合われ、保護者会メンバーの後押しを受けて母親が学校の苦情委員会に訴えることができたり、家が貧しく魚売りやくじの売上の集金などで家計を支えるために学校に行けない子についても、メンバーたちが少額を出しあって、学校に行かせるよう親を説得したりしています。このように、地域が抱えている子どもの権利や福祉の向上という課題が、保護者会の活動の中で、議論され、お互いに助け合い、励まし合いながら行動に移されるようになってきています。
「毎日の生活は絶望的である。くじけそうにもなる。でも自分たちの生活を少しでも良くしようと支援してくれる人たちがいる。そんな人たちがいるのに、自分たちが挫けていてどうする。頑張らねば、という気になる。頑張れる。」プログラムに参加する住民の言葉です。
当会をこれまで支えてくださった多くの会員・サポーター・支援者・ボランティアの皆さまと、フィリピンの貧しい人たちとのかかわりを紡いできたこと。人と人との繋がりが、お互いに何かしら生きていく力になるような、そういう繋がりを国境を越えて少しずつ拡げてきたことが、今回の受賞につながったものと感じています。
認定NPO法人アクセス‐共生社会をめざす地球市民の会
理事/事務局長 野田 沙良