人命救助の功績
袋本 将史
伊藤 修一
八木 隆太郎
2015年10月9日、午後3時17分頃、福井県小浜市の犬熊漁港の突堤から国道162号を見上げていた伊藤さんは、鉄柵を破り約10メートル下の海に転落する車を目撃した。伊藤さんは八木さん、袋本さんと共に法面を伝って転落現場付近に向かった。国道のガードレールから海岸まで下がっていたロープを伝って、伊藤さんと袋本さんが水ぎわまで降りた。八木さんが外したロープの端を伊藤さんに握ってもらい、袋本さんが体に巻きつけて海に入り、約10メートル程流された車に近づいたが、水深が袋本さんの胸まであったため、後部座席のドアガラスを石で割って車内から母子を救出した。
袋本 将史
今回経験したことのない名誉な表彰をして頂き、公益財団法人 社会貢献支援財団様には感謝しています。去年、天城一専務理事が滋賀県まで当時の事情を聞き取りに来られました。その時自分は社会貢献支援財団という財団法人があることを知らなかったため、何かの雑誌に記載される程度だと思っていましたが、天城専務理事と会い、お話を聞くうちに、社会貢献支援財団の事が少しずつ理解でき、光栄な受賞候補の一人になる事を実感しました。
平成29年3月第48回社会貢献者受賞決定の書類が届き、受賞の手続きを済ませ平成29年7月20日午後東京に着き、帝国ホテル東京にてチェックインを済ませ、(久しぶりの東京なので少し贅沢しようと)家族で銀座界隈にて食事や東京見物をさせて頂きました。そうして翌日、表彰式典・祝賀会を迎えることとなりました。妻や子供達とあまり着慣れないよそ行きのスーツを着用して出席しました、受付を済ませ私はリハーサルに入りました。何もかも初めての経験でリハーサルなのに緊張して汗も出て大変でした。安倍昭恵会長もリハーサルに参加して下さって、初めて近くでお目にかかれて感激しまた。色々練習をして、表彰式典を迎えることとなりました。
入場待機している時はさすがにリハーサルに無い緊張感がありました。
安倍会長の挨拶から始まり、選考委員の紹介、人命救助受賞者、社会貢献受賞者の功績紹介、表彰状の贈呈等がありました。とても真剣かつ和やかな雰囲気で進行して行きました。
今回私は、社会貢献功績者の日々の努力、活動の凄さには驚きました。 世の中には私利私欲などこれっぽっちも求めず、人間を愛し、動植物を愛し、世の中の為にここまで出来るのかと、感銘して自分が今までして来た事を振り返り考えさせられました。(もっと自分らしく真っすぐに生きようと!)そして祝賀会が始まり和やかな雰囲気で、他の受賞者とお話をしたり、安倍会長と握手や写真を撮りながら、美味しい食事やお酒を頂きあっと言う間に時間が過ぎて行きました。皆様とまた会える日を約束して、名残惜しく 東京を後に家路につきました。
救助の内容については、式典にて紹介された通りですが、当時を振り返ってみると。あの時私と 伊藤さんが水際まで降りたのですが、どうしようと一瞬二人の目が合いました!波も立っていたし、水深も潮の流れも分からなかったけど、車の中では子供が気を失い母親は泣き叫び必死で救助を求めているのを聞き、助けられるのは今しか無いと感じて身長も体も伊藤さんより私の方が大きかったので自身決断をして海に入り、車の後方ガラスを石で割り救助に向かいました。(速い決断をして二人とも無事で救助でき良かったです。)
今回受賞を受け、いろんな人の功績を知ることができ出会いがあり、人生の良い勉強をさせて頂きました。家族全員喜んでいます、ありがとうございました。
伊藤 修一
2015年10月9日、私は友人の八木君と仕事の休みを合わせて、愛知県より福井県へとアオリイカ釣りに出掛けました。
いろいろな場所移動をしながら、小浜市の犬熊漁港にて腰を落ち着かせ釣りを楽しんでいました。八木君は堤防の先端から南側を向いて、私は北西の方を向いて釣りをしていた所、私の向いている方向の崖から車が飛んできて海へ落ちてきたのです。(崖は高さ10mほどあったと思います。)
私はまず正直に「スゲェー」と心の中で叫びました。一瞬でしたが映画の1シーンの様な事がおこったのです。ですが、落ちた車は海に浮かんでいるのが見えます。周りは静かです、誰も事故に気がついていないのです。又、海に浮いた車からは、人が出てくる気配がありませんでした。ほんの数分ですが、いろいろな事が頭をよぎり大変な事がおきたのだと思い、すぐに八木君に事故の事を伝え、一緒に見に行こうと声を掛け、途中でたまたま釣りをしていた袋本さんにも声を掛け一緒に事故現場まで行くことにしました。八木君も袋本さんも音は聞こえたけど何が起こったのかわかっていませんでした。
車に近づいて見ると車の中から「助けてー」と女性がガラスを叩いていました。途中もう一人の人が警察、消防に連絡をしてくれていたのですが、袋本さんと車のガラスを割り、八木君に崖に掛かっていたロープを切ってもらい袋本さんに結び、袋本さんが女性を助けに行き、子どもが同乗していたので、子どもを抱え、お母さんは袋本さんにつかまり、私はロープを引っ張り救助はできたのです。
その後は、レスキューが来て子ども、お母さんの順で、レッカーで上まであげ、無事に病院へ搬送されました。
私達3人は、警察の聴取で関係を聞かれたのですが、3人目が合い、ただの釣り仲間ですと伝え、握手をしながらお疲れ様でしたと声を掛け合いました。
翌日、警察、当事者から「ありがとうございました。軽いケガですみました。」と連絡が入りました。その声を聞くまで、お母さんの「助けてー」という状況が頭から離れませんでした。
このような事で、社会貢献支援財団より表彰して頂き光栄に思っております。
式典では、様々の方のご活躍を聞き、今の日本すてたものじゃないなと、人の為に貢献する人が沢山いる良い国だと感じました。
八木 隆太郎
海難水難事故に際し、身命の危険を冒して救助、救援に尽くされた功績で表彰いただきまして誠にありがとうございます。
この度表彰を頂きました活動内容は、2015年10月9日午後3時17分頃、福井県小浜市の犬熊漁港の突堤で友人の伊藤修一さんと魚釣りをしていたところ、突堤から国道162号を見上げていた友人の伊藤さんが、突然、鉄柵を破り約10メートル下の海に転落する車を目撃しました。私と伊藤さんは、同じく突堤で魚釣りをしていた滋賀県の袋本さんと共に法面を伝って転落現場付近に向かいました。国道のガードレールから海岸まで下がっていたロープを伝って、伊藤さんと袋本さんが水際まで降りたところで、私が外したロープの端を伊藤さんに握ってもらい、袋本さんが体に巻き付けて海に飛び込みました。波も強く、約10メートル程車が流されておりました。
そこへ慌てて泳いで車に近づきましたが、水深が袋本さんの胸まであったためドアも水圧で開きませんでした。そのため急いで後部座席のドアガラスを海底にあった石で割って車内から母子を救出することができました。その後、駆けつけた救急車に母子は乗り込み病院で手当てを受けました。秋になっており水温もかなり低くなっておりましたが、救出中は助けたい一心で無我夢中になっており、海水の冷たさも一切感じませんでした。無事に母子の命が救えたことを3人で本当に喜びました。
式典に参加させていただき、「社会貢献者表彰は人びとや社会のために尽くされた方を表彰し、日本財団賞を贈るものです。社会貢献者は、広く社会の各分野において、社会と人々の安寧と幸福のために尽くされ、顕著な功績を挙げながら報われる機会の少なかった方々を対象としています。現在、表彰の対象となる功績は、緊急時の人命救助、社会福祉の増進や青少年の育成などへの多年にわたる功労、国際協力、海の環境保護と安全保持などです」となっており大変名誉なものを頂きました。私としましては人命救助とは、人として当たり前のことをしたまでと思っており、他の受賞者の方々の救助の内容を拝見しますと自分の命を顧みず救助をされた方々が多数いらっしゃり、その方々と比べてしまったら大変恐縮致しました。この度は素晴らしい会場、そして機会をいただき誠にありがとうございました。