社会貢献の功績
うつろ木ファミリー
「うつろ木」 西村 伸
広島市安佐南区緑井地区の西村家は自宅兼店舗お好み焼き店「うつろ木」を営んでいたが、平成26年8月20日に広島市で発生した土石流災害で、自宅が床上まで埋もれた。事態を心配した友人や常連客が駆け付けたが、自宅や店舗の片付けよりも「地域の復興が先」と駆けつけてくれた人々と地区の復旧を行なった。やがて同家はボランティアセンターのようになり、平日は100人、休日は400人もの人が各地から集まるようになった。地域を回ってボランティアを必要としている家を探したり、県外からのボランティアの受け入れ拠点となったり。ボランティアに必要な資器材を調達、ボランティアへの炊き出しなどを行った。この活動は支援要望が殆ど無くなるまで継続され、ようやく店舗再開へ向けて乗り出し、昨年12月に営業を再開した。同家は災害復旧工事関係者やボランティアの人たちからいつのまにか「うつろ木ファミリー」と呼ばれるようになった。
今回、平成27年度社会貢献者表彰というすばらしい賞に推薦頂き、授賞式の場に立てたことを大変光栄に思います。
平成26年8月20日未明に起こった広島土砂災害、広島市安佐南区緑井で私たちも予想もしていなかった経験をしました。幸いなことに家族は無事でしたが、今後どうしていいのかと途方にくれました。そんな私たちの元に、土砂で歩く道もない、雨も降り止んでない中にもかかわらず、たくさんの友人や常連のお客さん達が集まってくださり、「何かできることはないか?」「お店の再興を!」と声を上げてくださいました。ただ、復旧・復興作業をするにしても、この地に根付いて店を続けるならば、「まずは自分たちができる範囲でも地域の復旧作業を先に」と思い、そんな思いにみなさんにも賛同いただき、そのつながりがさらにつながりを呼び、たくさんの支援をいただきました。
復旧作業のことを振り返りますと、災害直後は駆け付けてくださった人に「何をしたらいいか?」と聞かれても、本当に何からして良いのかわからず、ただ戸惑ったり、いろいろなところで衝突したりもしました。そんな中で、見ず知らずだった私たちにずっと寄り添ってくださったり、根気強く前向きなアドバイスをくださったりして、徐々に活動の形になりました。多くの人たちに出会い、たくさん印象に残っていることはありますが、連日1万袋を超える土嚢袋リレーで長い列をつくった事は、人が力をあわせたときのパワーやその思いを強く感じたことのひとつです。
それから、行政による復旧作業も進み、その年の12月には「うつろ木」を再開することができたこと、たくさんの仲間がまた集まってくれたこと、「うつろ木」のことだけでなく地域のことも気にかけ続けてくれていることが、振り返った時にこのような活動をしたことが、少しは地域社会に貢献できたのではないかと、今では感じています。
私たち家族のことをみなさんが「うつろ木ファミリー」と呼んでくれていますが、私たちとともに歩んでくださった方々すべてが「うつろ木ファミリー」です。「うつろ木ファミリー」を代表して、今回の受賞に感謝し、みなさんの温かい思いに改めて感謝いたします。
鉄板焼き・お好み焼き「うつろ木」 西村 伸