社会貢献の功績
特定非営利活動法人
ソルト・パヤタス
平成7年に発足し、フィリピン、ケソン市のパヤタス地区という貧困地区で、ごみの山を物色し、生活費を捻出する子どもやその母親のための支援を行っている。貧困からの脱出には教育が必要と考え、奨学金の援助を行う教育里親運動を行ったり、収入源の確保に手工芸品の生産販売を援助する活動、日本人に向けた現地視察を含めたスタディツアーを実施している。ゴミの町として有名なパヤタスを刺しゅうの町として汚名返上しようと目標を掲げ、女性に刺しゅうによる収入を奨励、利益を生み生計をたてるまでに成長している。
この度は、素晴らしい賞をいただきまして、誠にありがとうございます。
12月1日受賞式当日、社会福祉法人広島いのちの電話様、医療法人聖粒会慈恵病院様をはじめ、尊い活動に人生をかけてこられた先輩方とともに檀上に並ばせていただき、大きな感謝と責任とを感じると同時に、活動を始めた約20年前のことを思い出しておりました。
1994年夏、フィリピンのゴミ山で働き学校に行けない大勢の子どもたちの姿を見たことがきっかけで、ソルト・パヤタスの活動を始めました。当時は19名の子どもの学費を6年間送り続ける、そのことが目標でした。「団体を設立しよう」、「社会貢献をしよう」という意識より、「目の前にいるこの子どもたちに、なんとか学ぶチャンスが与えられないか」というささやかで個人的な思いからのスタートでした。
始めてみたら自分たちがいかに大きな社会課題に対して運動をはじめたのか思い知らされることの連続でした。「たとえ極少数の子どもたちを支援したとしても、いったいどうなるのか、それで社会がどう変わるというのか、ちっぽけな活動にすぎないじゃないか…」という否定的な思いや、「続けられるだろうか…、お金が続くだろうか…」という不安な気持ちと葛藤する日々でした。
半ば無鉄砲に始めた活動ではありましたが、これまで継続してこられたのは、活動に共感し、参加し、支援してくださった多くの日本の市民の方たちのおかげです。また現地で、日本の方からもらったチャンスを生かして進学し、自分の学びを他の子どもに伝えようとする子どもたちや女性たちが出てきてくれたことによると思います。
課題の大きさ、壁の高さは、残念ながら開始当初と比べ変わったとは言えません。むしろ格差は大きくなり厳しくなったと言えます。しかしそれでもあきらめず、自分たちの力で貧困の固い鎖から自分を解き放つ子どもたちや女性たちが一人、二人と、その努力を応援する人たちによって支えられ、生まれています。
たとえささやかな活動でも、ゼロではない。
今回の受賞を、今後もさらにこの活動を広げ進んでいけという応援の賞であると受けとめ、今後も一人、二人と、鎖から自らを解き放つ人たちを増やすべく、更に励んでまいりたいと思います。今回は、会場で普段はなかなかお目にかかれることのない、全国の様々な活動をされておられる方と出会うことができたのも大変貴重な体験でした。ありがとうございました。
事務局長 小川恵美子