社会貢献の功績
藤田 善史
1999年からミャンマーで同国の眼科医に超音波白内障手術の指導等を現在までに23回行っている。同国から来日した保健省の技官が藤田さんの白内障手術の様子を見て、同国の眼科医に新しい手術法「超音波白内障手術」の指導をして欲しいという依頼があったことがきっかけ。同国の白内障手術は政治的背景から情報が乏しく、新手術法は導入されていなかった。各眼科関連関係者と共に、超音波白内障手術に必要な器械や手術道具、眼内レンズ、薬剤をもってヤンゴン眼科病院などで指導するほか、過去に設置した検査機械のメンテナンス、動作確認なども行う。また同国の眼科医を自分の病院に招聘し日本の眼科医療を学んでもらっている。こうした結果、現在ヤンゴン眼科病院では年間6,000件行われる白内障手術の30%が超音波白内障手術で行われるようになり、多くの眼科医が同手術法の良さを認識し個人病院でも普及されつつある。
このたびは社会貢献者表彰を受賞することができ、とても嬉しく思っています。これもひとえに私たちの活動を支援してくださっている多くの方のおかげと感謝しています。当日は、記念写真撮影、授賞式、祝賀会が行われ、授賞式では一件ずつ受賞者の紹介があり、いろいろな形で社会貢献をされているその横顔を知ることができました。人命救助をされた方、障がい者のための自立支援を行っている方、不登校の子供のための相談活動や就労支援を行っている方、更生中の少年を積極的に雇用し支援されている方、ミャンマーで学校建設、運営を手助けしている方、さらには東日本大震災で救援活動を行った方など、これほど多くの方が多方面で活躍しているということに感銘いたしました。今回受賞されたそれぞれの方から、今後の私たちの活動への力をいただくことができたように思います。
私たちの活動は1999年2月から始まりました。ミャンマー保健省より派遣されたミョー・ミント医師から、ミャンマーで超音波白内障手術を教えてくれないかと依頼されたのがきっかけです。これまでに23回訪緬し、ヤンゴン眼科病院、マンダレー眼科病院を中心に超音波白内障手術器械、器具、薬剤、眼内レンズなどの寄贈を行うとともに多くの超音波白内障手術を行い、現地の眼科医の横について手術指導を行っています。また、これまでにミャンマー眼科医を10名招聘し、1ヶ月間の短期間ですが当院で研修してもらうとともにいくつかの眼科医療機関の見学も行ってもらいました。さらに現地の眼科検査器械や手術顕微鏡などのメンテナンスなども行っています。
日本では一般的に普及している超音波白内障手術ですが、当時のミャンマーでは超音波白内障手術の知識が少なかったこと、装置が高価で購入しにくかったこと、旧来の白内障手術に慣れていたことなどから、最初の訪緬時に私たちが行った超音波白内障手術は驚きを持って迎え入れられました。それから14年間におよぶ活動で多くの現地医師が超音波白内障手術手技をマスターし、白内障で光を失う方への医療に取り組んでいます。今後もさらにミャンマーでの超音波白内障手術の普及に努め、日本のように、すべての眼科医が超音波白内障手術のできる体制作りに貢献をしたいと思います。今回の受賞がきっかけで、さらに活動を継続させていく勇気をいただきました。社会貢献支援財団およびそれに関係する多くの方に心よりお礼を申し上げます。