社会貢献の功績
パソボラ こころのかけはし
長崎県鹿町町(当時・現佐世保市)で1999年に役場の保健師から、難病が進行している人や障がい者とパソコンソフトで意思伝達が図れないかと相談があり、簡単な操作でコミュニケーションを図れるソフトウェア「HeartyLadder」の開発を始めた。2000年にはインターネットで無料のソフトウェアとして公開、配布し、入力スイッチの作成やサポート活動を行ってきた。さらに2011年には自分の声で文章を読み上げさせることが出来る「MyVoice」機能を付加し、公開した。筋委縮性側索硬化症やパーキンソン病などの難病患者のために、声が出るうちに自分の声で50音や濁音などを録音しておき、声を失ったあとでもパソコンで文字を入力すれば自分の声で文章を読み上げることができるもの。(同じような機能を持つソフトは有料の場合100万円程で販売されている)メンバーは会社員(プログラマー、医療関係)作業療法士、保健師等で構成されている。
この度は社会貢献表彰という大きな賞をいただき、本当にありがとうございました。授賞式に出席して改めてこの賞の大きさを知り、喜びを新たにしました。
私たちは、ハーティーラダーという障害のある方のためのソフトを開発し、サポートをしています。
このソフトでは、障害のため、マウスやキーボードが使えなくても、体のどこか1ヵ所さえ動かせれば、文章を書いてメールやインターネットを楽しんだりできます。
開発を始めて、もう14年が経ちました。最初は、簡単な文章を書くためのものをと思って作り始めたのですが、公開してみると、全国でたくさんの人たちが使ってくださり、皆さんからはたくさんの要望が寄せられ、それらに応えてきた結果、多くの機能を有するものになりました。今では、インターネットはもちろん、Windowsでできることは、何でもボタンひとつででもできるようになっています。
また、最近、マイボイスという新しい機能を装備させました。これは、ハーティーラダーに入力した文章を自分の声で読み上げるというものです。病気のために、声を失ってしまっても、自分の声で会話ができると、利用者の方にはとても喜んでいただいています。中には、このことがきっかけで、人工呼吸器をつけても生きようと決心された方もおられると聞きました。そういう話を聞くたびに、本当にこのソフトを作って良かったと思います。
ところで、私たちのソフトはこれだけあれば良いというものではありません。これを使ってくださる方は、障害のある方で、自分で操作できない場合がほとんどです。マイボイスにも、録音や声の編集といった多くの方達の協力が必要です。でも、嬉しいことに、私たちのソフトに関しては全国各地にサポートをしてくださる方がたくさんいてくださいます。その方達のおかげで、多くの人たちにこのソフトを使っていただけているのです。今回も、その人たちと一緒に受賞したと思っています。そして授賞式には東京で活動しておられる方達が来てくださって、一緒に、受賞を喜んでくださいました。
私たちのソフトも、まだまだ改良の要望が寄せられていて、解決しなければならないことがたくさんあります。これからも、全国のサポートしてくださる人たちと共に利用者さんの笑顔のために、これからもソフトの開発やサポートを続けていきたいと思っています。ありがとうございました。
吉村 隆樹