平成24年度
東日本大震災における貢献者表彰
ほんごう ただよし
本郷 忠敬
(70歳:宮城県岩沼市)
岩沼市医師会の救急医療対策委員会委員長として、地域住民の命を守るため、設備やインフラ等が不備の中、いち早く自らの医院にて診療を再開した。また救護所でも次々に搬送される患者への治療や入院患者の受け入れ等を行った。通常診療が開始された後も、避難所に避難している人々のために活動時間を延長して対応し、深夜には専用の携帯電話をもって看護師の抱える不安などにも対応する等、多大な貢献をした。
推薦者:一般社団法人 岩沼市医師会 会長 森 学武
震災の記憶
忘れもしないあの日の2時46分。ものすごい揺れにああ宮城県沖地震が本当に来てしまったのだと思いながら、長い揺れの恐怖にただ何もできずおさまるのを待っていました。
患者の避難、誘導、明かりの確保など、取りあえず思いつくこと全て行いました。
落ち着いたころに、海辺に住む従業員の家族の行方の安否、病室の食材の心配。水の、寒さの、停電の、ありとあらゆる不安と闘いました。それでも従業員のすごい団結力に、感心させられたものです。
携帯、交通機関、ガソリンのない中でどうにかして通ってくれる彼女たちには有り難く頼もしく感謝の毎日でした。
被災者も含み19床満室の食事もどうにか工面して出すことが出来、外来の患者さんたちへも通常の診療が出来、少しずつ回復していくライフラインとともに、余裕の笑みがこぼれだし始めました。パソコンの動かない中でバタバタした事務も三日目には通常作業に戻すことができました。
空いた時間にいく対策本部では逼迫した緊張感の中、遺体の数が増え続けていき津波の規模のすごさを実感させられました。
今となっては何もできなかったと自分の非力さを悔いるばかりですのに、この度の受賞は気恥ずかしいの一語です。
お招きいただきまして誠に有難うございました。
本郷 忠敬(本郷医院)