社会貢献の功績
田中 秀一
氷見市は、日本海の中央部能登半島の富山湾に位置し、同湾は漁業資源の宝庫といわれる。女良漁港は同湾に所在する7漁港などの1つである。同港は第一種漁港として整備され、在泊の漁船約60隻を有している。同港の沖は、冬季は北西の季節風が強く、また雪により視界が悪くなる海域である。一年を通じ漁船など船舶往来も多く、同港の灯台は海の道しるべとして重要な標識になっている。
田中さんは、女良の漁業協同組合に勤務していたところ、海上保安部から昭和41年に女良漁港に設置されている東防波堤灯台の監視協力者としての委嘱を受けた。委嘱の内容は、灯台を管理する海上保安部の職員に代り、灯火の状況を夜毎見守るとともに灯塔などの異状の有無を確認するとともに、異状がある場合は海上保安部に速報し、状況によっては海上保安部の要請を受けて応急処置を行うことである。
田中さんの自宅から灯台までは、100メートルほどの距離であるが、直接監視することが出来ず、50メートルほど離れた視認地点に行って、灯火や施設の確認をしなければならない。特に台風など自然災害が発生しそうな日の監視は重要で、風雨に身をさらしながら、夜半数回にわたり監視を行なう。台風通過時には早急に灯台を点検し、海上保安部に報告している。奥さんの協力も得ながら、地味で忍耐と献身を必要とする夜毎の灯火監視を40年にわたり続けている。
田中さんは「冬のある夜、いか釣に出漁していた漁船が、急な荒天となり帰港しようとしたが、方向がつかめず一瞬迷いそうになった時に、遠くの灯台の明かりが目に入り無事帰港出来た。」という感謝の言葉を聞き、ホッとするとともに「灯台を消せない。消えたら速やかに復旧する」という海上保安庁の理念を共有しながら活動を続けている。
受賞の言葉
この度は社会貢献の功績ということでこのような素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございました。
昭和41年9月女良漁港に灯台が設置され、海上保安部より灯台監視協力者の委嘱を受け、それ以来「灯台は消さない。消えたら速やかに復旧する。」を心がけて灯台監視を続けてきました。
この栄誉ある賞を頂いた感激を忘れずにこれからも体力の続くかぎり灯台監視をしていきたいと思います。