第二部門/多年にわたる功労
江口 喜多枝
江口さんは、1999年に国際ロータリークラブの地区委員としてモンゴルを訪問し、日本語学校へ教材を、病院へ医療機器を、シングルマザーの働く場所としてアイスクリーム、パン工場を、ロータリークラブから寄贈した。医療機器は新生児の死亡率を下げるため超音波装置を贈り、パン工場は売れ残ったパンを食料として持ち帰れる等、現地に合った支援を行った。
しかし、この支援は単年度で終わるため多くの問題が未解決で残り、支援の内容も限られていた。漏れた支援や支援を待つ孤児たちを江口さんと新藤さんの2人の委員は見捨てることができず、個人的に支援活動を始めた。2人は緊急用自動車の寄贈と、孤児院の支援を行った。孤児院は、ストリートチルドレンを引き取って育てており、江口さん達は20人程の孤児の食費として必要な月2万円を二人で負担することにした。その後、孤児の数が増えるに伴い支援額も増えていった。現在、孤児は300人に増えている。
個人の支援に限界を感じた江口さんは、2003年10月、「モンゴル子ども支援国際ボランティアネットワーク」(IVNMC)を設立し、その代表となった。IVNMCはモンゴルへの食料援助と教育援助の2つを活動の柱としており、同年パン工場へ機械を贈り、120人の子どもへパン給食を開始した。教育援助では奨学金制度を設け20名以上の奨学生を支援している。奨学生は大学進学より職業訓練を優先させ、将来のモンゴルを背負う人材の育成を目指している。その他、図書や学用品の寄贈も行っている。また文化交流としてモンゴル平原での日本の凧揚げや、江口さんの恩師の協力を得て弓の交流も行った。
IVNMCの活動資金は、支援団体や有志からの寄付を純粋に支援に使うため、モンゴル現地での事務所費、通信費、人件費や江口さん自身の渡航費用、領収書の出ない経費は江口さんが個人で負担している。こうした江口さんを中心としたIVNMCの活動や働きかけはモンゴルの人々や政府を動かし、自助努力への動きも出てきた。江口さんは、IVNMCの活動が早く不要となることを願いながら活動を続けている。
受賞の言葉
この度は、モンゴル子供支援(IVNMC)への栄えある賞を賜り心より御礼申し上げます。
この報にモンゴルの理事達も来日し、共に喜びを分かち合い、「今後も両国共に頑張って行こう!」と私達の活動の大きなエネルギーになりました。日本、モンゴル、両国の会員のご協力、努力の賜と思います。小さな奉仕活動ですが、零下40度にもなる極寒のモンゴルで、凍傷で手足を失う親の愛に恵まれない子供達を救おうと、既に8年が経過しました。IVNMCは、日本側だけの一方向ではなく、現地に根付いて運営されています。モンゴルの子供達の食料、教育援助が機軸ですが、「幼い子供達に自立の心が芽吹き、社会に貢献できる人に成長して欲しい。」と願いを込めて、本年よりIVNMCの学校建設をスタート致しました。