受賞者紹介

平成17年度 社会貢献者表彰

第三分野/特定分野の功績

ハッピーファミリー賞
みぞぐち きり

溝口 キリ

(大12. 4.11生)長崎県佐世保市
溝口 キリ
病身の夫を扶けて漁業を営む中で9男2女を産み育てると共に養殖業などの会社を経営し発展させ、海に根ざした地域社会の礎を築き、後に続く世代を育てている。
推薦者:稲田 博史

受賞の言葉

ただ一生懸命生きてきただけなのに、このような素晴しい賞をいただいて本当にありがとうございます。
今まで私を支え助けて下さった神様、親、兄弟、町内の方々、そして関わって下さった皆様に、心から感謝しています。又、子供達、孫達も助け合い愛しあいながら生きていけますようにと願っています。

溝口キリさんは、1923年佐世保市大潟で漁業を営む谷脇家に生まれた。21歳で同地区の漁師、溝口末春さんに嫁いで9男2女をもうけ、家事と育児をこなす傍ら病気がちの夫を支え、幼い子を連れて漁に出た。終戦後には船も買い、一本釣り、三枚網(刺網)、ゴチ漁業を夫婦で営んだ。9人の子供のうち50年代までに誕生した世代は、朝の漁を手伝った後そのまま水揚げを兼ねて相浦漁港に船を入れて貰い、そこから登校した。(長男、次女は夭折。)子ども達はキリさんを扶け家業を手伝いながら育った。

1948年、キリさんは6人の兄弟と共同で旋網漁主体の「谷脇水産」を起業。1974年に「溝口水産」として独立し、旋網漁業と養殖業を経営した。1990年に両社を一本化して「エテルナ・ワコー株式会社」を設立、(次男が社長)、キリさんは監査役、会長を歴任した。現在は相談役として三男の社長を扶け、子や孫達が切り盛りする同社の象徴的なまとめ役として、事務所では乳幼児の孫・曾孫達の相手をしながら、笑顔で皆を見守っている。

現在、孫49人、曾孫11人。育児と家庭運営、溝口・谷脇家をはじめ地域社会の協働、同社の経営の三者が渾然一体となって行われている。漁獲物運搬船からの水揚げには、会長・社長夫人はじめ重役夫人方がカッパ・長靴姿で賑やかに働き始める。父母、兄姉、親戚縁者の働く姿を見ながら、将来の漁師を夢見て次の世代が続く。乳幼児がひしめく同社の事務所は子ども達が邪魔にされずに自由に出入りすることを前提に機能している。揺り籠と成育の場と会社事務所が一体となっており、そこにはいつもキリばあちゃんの笑顔がある。

エテルナ・ワコー社の社是は「和」の精神である。「共に助け合いながら、永遠に和をもって光り輝いていこう」をモットーに全社員が協力し援けあう姿勢にはキリ母さんの子育ての心が受け継がれている。同社は、道路が整備される迄は陸の孤島同然だった大崎地区で、地域の自然と共存しつつ旋網漁業と漁獲小型漁の蓄養を初め先見性のある体系的な水産業を展開し、150名を超える従業員と次世代の雇用と定住の条件を整えようとしている。

創設した会社の事務所にて
キリさんを囲む孫たち

Ms. Kiri Mizoguchi

(Born on April 11, 1923) Nagasaki Prefecture
While rearing 9 boys and 2 girls and supporting the fishing business of her ailing husband, Ms. Mizoguchi played a central role that harmoniously embodies the spirit of childcare, regional cooperation, and company management, laying the foundation for a local sea-based community and raising the next generation.
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