第二部門/多年にわたる功労
新里 恒彦
新里さんは、沖縄県の中学校校長を平成4年に退職し、退職金で沖縄県中部の恩納村に不登校や非行で家に居られない子ども達のために、500坪の借地に20人が宿泊できるプレハブの家と農園、家畜小屋、池などを作り、子ども達が土や植物にふれ、農作物を育て、家畜を世話し、仲間や大人達と交流できるケルン自然体験苑(ケルン苑。「ケルン」は「道しるべ」の意)を開設した。新里さんはそこで父親のように子ども達と寝食を共にした。設立以来13年間に世話をした子ども達は延べ991件に上る。その中、約80%の子が社会復帰を果たした。しかし最近、入苑申し込みの増加と周囲の住民から家畜の鳴き声に対する苦情が出てきたためケルン苑を移転せざるをえないことになり、北部の大宜味村に移った。土地は山林を自費で6000坪購入し、隣接する畑地4000坪を支援者が購入、提供し、建物、施設は全て自費で賄った。平成18年4月に開設を予定している。
また、新里さんは平成4年に沖縄県教育委員会などから巡回教育相談員の委嘱を受け、不登校児童・生徒の登校支援活動を続け、外国人子女の心のケアーにも取り組んできた。更に平成5年、保護司の委嘱を受け、保護観察中や仮退院のため環境調整中の多くの少年達の面倒を見てきた。保護司は、非行少年や犯罪者本人とその家族を家庭に招いて相談にのり、更生にむけて援助する報われぬことの多い仕事で、保護司本人のみならず家族も危険にさらされることがある。新里さんは、対象者の殆どを更生させる良好な成績を達成し、高い評価を受けている。新里さんは73歳の現在に至るまで、一貫して心の闇をかかえた子供に寄り添い、愛を放射しつづけ、手をさしのべて誠心誠意の活動を続けてきた。その活動は、ペスタロッチの「私は子らとともに泣き、ともに笑った。私は子らとともに居た。」という言葉そのものである。
受賞の言葉
この度は身に余る賞をいただいて感激、感謝いたし、哀心より厚く御礼申し上げます。
額におさめられた表彰状をみて、来園する子どもたちの中には「がんばらなくちゃ」と声をはりあげる子どももおります。この賞は私を含めて子どもたちの「励み」の賞になっております。当ケルン自然体験学園はこのたび特定非営利活動法人(NPO)と認証され、今春、本格的にスタートすることになりました。受賞を契機にこれからも子どもたちと共に行動し、がんばってまいります。沖縄県