受賞者紹介

平成15年度 社会貢献者表彰

第二部門/多年にわたる功労

やん りほう

楊 理合

(1928.8.13生/中国 広東省)
楊 理合
ハンセン病患者・回復者達に呼びかけ、行政当局を説得して、中国初のハンセン病患者・回復者の自治組織を発足させ、彼等の自立と尊厳の回復、社会の偏見の払拭と国内外の交流推進に尽くされている。
推薦者:紀伊國 献三

受賞の言葉

中国のハンセン病対策は、これまでに大きな進展がありましたが、偏見・差別は未だに根強く残っています。ハンセン病回復者と家族が住むハンセン村の多くは、水道も電気もなく、医師もいない状況で、1日1ドルに満たない貧困の生活を余儀なくされています。
広東省漢達康福協会(通称ハンダ)は、これら回復者の人々とその家族の暮しを少しでも向上させ、尊厳ある生活をめざして、回復者による農産物の栽培や、家畜の飼育による収入確保、就職のための縫製工場や、補装具、保護靴工場の設置、回復者子女の教育及び教育環境の整備等の活動を推進していきたいと考えています。

楊理合さんは、大連医科大学卒業後一貫してハンセン病制圧の第一線で働いてきた。1985年、広州市のハンセン病治療・研究所に移り、ハンセン病患者の信頼篤い馬海徳博士を助けて新しい治療薬を用いたハンセン病対策を推進した。そこで見た各地療養所やハンセン村の人々の惨めな生き方は楊医師の心に深く残り、93年に退職後も彼らの苦難解消の道を模索していた。

1993年、第14回国際ハンセン病学会に初めてブラジルなどから回復者が参加し、「ハンセン病は治る病気になったのに患者・回復者が依然社会から排除され困難な生活を強いられている。患者・回復者が手を繋ぎ、この状況を打開しよう」と呼びかけた。楊医師はこれに強く心を打たれ、帰国後直ちに広東省各地の療養所やハンセン村を訪ね、回復者自らが立ち上がるよう熱心に呼びかけ、行政当局にはハンセン病の患者・回復者による組織設立への理解を強く求めた。2年に及ぶ楊医師の努力の結果、1996年中国初のハンセン病患者・回復者の自治組織「広東省漢達(ハンダ)康福協会」が誕生した。以後、内外からの支援も徐々に集まり、自立のための様々な活動が行われ、ハンセン病患者も普通の人間だという認識が広まって、慈善を超えた内外の交流が始まった。

今、楊医師の目は奥地四川省、雲南省の村で診断の遅れから大きな障害を抱えた人々の尊厳の回復と生活向上へと向けられている。