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ひとり親が孤立せず、ひとつの家庭として自立できるように個別相談、居場所やカフェ会の開催、生活支援など、当事者目線での活動を小西凡子さんが中心となり山口県内で2017年に開始した。ひとり親や生活に困窮する人が「仕事や収入がないことにより、社会に身の置き所がない事が一番辛い」と感じていることを、キャリアコンサルタントの仕事を通じて知った小西さんは、仕事を得て社会に必要とされることで自己肯定感が上がり、生きづらさの解消になるのではと考え、フィナンシャルプランナー、看護師、保育士、社会福祉士、精神保健福祉士、キャリアコンサルタント、心理カウンセラーらと協働し、仕事の相談や、法律相談、行政への橋渡しなどを行うことにした。.Style(ドットスタイル)の“ドット”が表すのはひとり親のことで、地域に点在している彼らが、孤立ではなく自立を目指すこと、ひとり親がラベリングされない環境作りをと、寄り添いを続けている。そんな中で、ひとり親の生きづらさの根底にはジェンダーの問題があることに着目。生理の貧困という課題に取り組み、山口市内の小中学校のトイレに生理用品を配置することに成功。今後はジェンダーの課題に取り組みながら、最終的にはひとり親が特別視されない世の中を目指している。
この度は、社会貢献者表彰の栄誉を賜りましたこと、心より感謝いたします。
山口県に困窮家庭のこどもを支援する団体が立ち上がり、子ども食堂がスタートし始めたタイミングで、ひとり親の当事者団体として、2017年にドットスタイルが誕生しました。
当時、スタッフは4名。みんな未就学の子どもを抱え、大黒柱としてフルタイムで働いていたので、活動の時間もとれず、何を「支援」と呼ぶのか、「社会課題」という言葉すら知らず、他団体の見様見真似でなんとか活動をしていました。
そのうちに私たちの活動を知った方から生活不安の相談を受けることが増え、コロナ禍においては電気やガスといったライフラインが止まる家庭、その日の食べるものがないといった相談、社会からは見えづらいDVの相談も多く寄せられました。
相談を受けるうちに、ひとつの疑問が沸き上がりました。相談に来るシングルマザーはひとりとして怠け者ではなかった。なのに生活が困窮してしまうのはなぜか。
働いていても低賃金であったり、非正規であるために人員整理で職を失ったり、劣悪な待遇の中で心を病み働けなくなってしまったり。仕事とワンオペ育児で相談する時間も繋がりもない。
ひとり親の困窮の根には、ジェンダーの課題があります。多くのひとり親が専業主婦やパートからいきなりシングルマザーになり、働いても低賃金、養育費ももらえず、非正規で、働く力の蓄えもなく社会に放り出され、母親なのだから子育てはきちんとと言われ、困窮していきます。このことから、2021年より女性支援を始めました。今年からは性教育にも取り組みを始めました。
ドットスタイルのテーマは、「地域に点在するひとり親が孤立ではなく自立へ」です。ひとり親や女性がきちんとひとりで立てるための支援を、これからも続けていきたいと思います。
また、この度の授賞式でご一緒した受賞者の皆様の活動が素晴らしく、この団体がすべて山口県にあれば、誰ひとり取り残すことなく豊かなまちづくりができるのではないかと感じました。
社会貢献者表彰を受けた者の使命として、この授賞式で得たことを地域に持ち帰り、地域の糧にしたいと思っています。
- 毎年年末に山口市の中山間地域「阿東」の特産品と新米を田舎の親族からの宅配便のように送る事業です。コロナ禍から4年継続している看板事業です。
- カフェ会の人気イベント「ネイリストによる爪の手入れ」です。年末の癒しとして、喜んでいただいています。
- コロナ禍の中学生を対象に、山口大学の学生がマンツーマンで勉強を教えた「学習会」
- 「生理用品の配布会」は県の事業にもなり、2年間取り組みました。その後は「生理サミット」を開催するなどし、「生理の貧困」だけでなく、そこから体と心、性の課題に取り組んでいます。
- 2020年の大晦日に、ひとり親だけでなく困窮した方を対象に、おせち風のお弁当と年越しそばを山口市で 100世帯、ほか県内3市でも年越しのお弁当を配布しました。
- 「おしごと展」は、「孤立を自立へ」がテーマのドットスタイルらしく、ひとり親や女性が性別役割に捉われず、イキイキと働き、手に職をつけ、生活に困らないだけの収入を得られるようにと行った提案型イベント。