受賞者紹介

第57回 社会貢献者表彰
いっぱんしゃだんほうじん どうほくちほうぶっしつしようしょうがいけんきゅうかい

一般社団法人 道北地方物質使用障害研究会

(北海道)
一般社団法人 道北地方物質使用障害研究会 代表理事 杉本 啓二
代表理事 杉本 啓二

更生保護関係者を中心に地域の医療、保健、福祉機関の有志が集まり、薬物やアルコールなど物質使用障害の当事者が、適切な回復支援を受けられる地域支援を目的に、2014年11月に任意組織として設立された。その後、2017年2月に一般社団法人として地域内外の関係機関や団体と連携・交流することで新しい支援者の育成や啓発、地域のネットワークづくりに貢献する活動を展開。薬物などの依存症からの回復のきっかけをつかんでもらうことを目的とし「道北リカバリーセミナー(Polar Bears(ポーラーベアーズ)」では、薬物依存治療プログラム(スマープ24)の教材に沿って、過去の振り返りや、薬物を使用しない方法を話し合うグループミーティングを開催。また、依存症当事者への支援の輪を地域に拡げ、依存症の本質を理解し、地域住民の偏見や差別をなくすため、「物質障害者支援の地域への普及・啓発のための学習会・記念フォーラム(地域住民の理解度の啓発による、住み心地の良い居場所づくり)」を実施している。

このたびは栄誉ある賞をいただき、心より感謝申し上げます。

盛大なセレモニーに出席させていただき、今回の受賞者の皆様の活動と心に秘めた思いに忠実に行動されている姿を拝見し、「継続して活動してきて良かった。これからも自分に忠実に生きていこう」とあらためて思いを強くすることが出来ました。心よりお礼申し上げます。

私共は、特に薬物・アルコール等の依存症からの回復支援をスマープ24というプログラムを使い、参加者に寄り添ったミーティングを実施すると共に、広く地域社会に依存症の理解を深める活動をしてきました。一方で、依存症は病気であり、その回復には、民・官が連携しスムーズに活動出来るよう取り組んでいます。

再犯防止事業のモデル事業を行う組織としてスタートしましたが、保護司活動の延長線にあるもの、監督官庁である法務省の関係機関とも連携し事業を進めて行く必要があると考え、医療・福祉機関からも理事に就任いただき、官・民協力のもと地域社会に必要な活動であると理解いただけるよう啓発活動に努めているところです。今では、官から民に委ねた「ダルク」の活動とは異なり、保護観察官も立場を変えスタッフとして参加しています。時には、新任の検察官も見学者として参加することもあります。日本最北の地で、官と民が協力する息の長い活動を先駆的に取り組み、関係機関とも連携し、地方自治体も巻き込んだ現在の組織となりました。

私達は、会社役職員・精神科医療スタッフ・福祉支援機関スタッフの本業の傍ら保護司と同様にボランティア活動を行い、そのネットワークは、更生保護機関・医療・福祉・行政と幅広いものとなって来ました。今後は、民間の広がりだけではなく、官・行政を如何に取り込んでいくかが課題であると認識しています。

また、依存症者の背景には、家族であったり、取り巻く地域社会であったりと、色々な課題を抱えており、更生保護活動と同様に、就労の支援や住居の支援と走り回っています。

このたび、安倍昭恵会長のご挨拶で語られた「犯人を憎むより、その前に相談できる人はいなかったのか」との一言に、いま日本が抱える社会問題、生きづらさ、孤独、孤立といった犯罪に結びつきやすい事実を痛感し、保護司である私として複雑な思いでありました。

安倍昭惠会長のご臨席に感謝し、これまで以上の尽力を誓いましてお礼にかえさせていただきます。

代表理事 杉本 啓二

  • 令和元年度学習会の開始目前の様子
    令和元年度学習会の開始目前の様子
  • 令和元年度学習会の講演中の様子
    令和元年度学習会の講演中の様子
  • リカバリーセミナー(ポーラーベアーズ)の様子
    リカバリーセミナー(ポーラーベアーズ)の様子
  • リカバリーセミナー(ポーラーベアーズ)の様子
    リカバリーセミナー(ポーラーベアーズ)の様子
  • 依存症回復支援は及び地域住民へ啓蒙するため開催した令和2年度学習会の講演中の様子
    依存症回復支援は及び地域住民へ啓蒙するため開催した令和2年度学習会の講演中の様子
  • 代表理事 杉本啓二さん
    代表理事 杉本啓二さん
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