社会福祉法人 藍
1983年、創設者の竹ノ内睦子さんは障がいのある知人の「私も仕事がしたい!」という一言を受け、日本の伝統工芸を世界に伝える仕事を一緒にしたいと、世田谷区若林に6畳一間の間借にて藍染めの工房「藍工房」を設立。以来、2015年の大野圭介理事長就任後も『一人ひとりの夢の実現を目指す。その力を世の中のために活かし、共生社会を目指す』という理念のもと、精神・知的障がい者の地域生活定着促進のための就労の場を提供。将来の雇用を生むための就労継続支援B型事業所「ファクトリー藍」では藍染や織り、刺し子製品などを制作し下北沢の直営店で販売、「アンシェーヌ藍」は三軒茶屋にて障がい者が働く洋食レストランの運営やキッチンカーでランチ販売。生活に関する支援を行う共同生活援助事業「ガーデン藍Ⅰ~Ⅴ」、特定相談支援事業所「コンシェルジュ藍」を運営。障がい者の可能性を引き出し、彼らをプロデュースするという立場で、洗練されたものづくりを行い、一人ひとりが精神的経済的に自立し、地域の一員として共に生きる共生社会の実現を目指している。
この度は、社会貢献者表彰式典におきまして大変栄誉ある賞を賜り心からお礼申し上げます。授賞式で安倍昭恵会長にお会いできるとは思っておらず、本当に感激で胸が一杯になりました。
さて、社会福祉法人藍は1983年に創業者である竹ノ内睦子が裸一貫で立ち上げた障がいのある方々を支援する団体で、私(大野圭介)が竹ノ内から事業を引き継ぎ早いもので7年が経ちました。現在は60名の障がいのある方々が藍染・刺子・織を制作、販売している就労継続支援B型事業所Factory藍やレストランアンシェーヌ藍及びグループホームを利用しています。
地域で地道に活動を続けてきた私共に転機が訪れたのが2013年のことです。総理官邸で行われた「安倍総理と障害者との集い~共生社会の実現を目指して~」というイベントに幸運にも私共アンシェーヌ藍がデザートを参加者の皆様にサーブするという機会を与えて頂きました。うきうきして利用者さんと総理官邸に出かけたのを昨日のことのように覚えています。このイベントで総理(故・安倍晋三元首相)にお会いして、利用者のみんなが「総理、ぜひ私たちのレストランに食べにきてください」と伝えると、総理は優しく微笑み「そうね。三軒茶屋だね。今度行くね」とおっしゃってくれました。もちろんただの社交辞令だとは思っていましたが、その日の夕方総理の秘書から店に一本の電話が入りました。「総理が来月のお母様の誕生日会をそちらで行いたいそうです、予約できますか?」と。電話が切れた後、みんなと狂喜乱舞で喜びました。まさか一国の総理大臣が当店に来てくださるとは夢にも思わなかったのです。
総理ご一行様が来られた夜は本当に格別の日でした。みんなドキドキして「オレ、総理にありがとうって声掛けられた、感激だ」とか「私、総理大臣にメインディッシュをサーブしちゃった」と大興奮でした。総理夫妻が皆にとても優しく丁寧に接してくださった情景が今でも目に焼き付いています。
私は恥ずかしながら政治に疎い人間で政治とは何なのかよくわかっておりません。でも「活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた、美しい国」を目指すという「想い」は理解できます。私も自分が生まれ育った国を誰がみても「美しい国」であってほしいと願っています。世田谷の小さな法人ですが、皆と希望をもって、「美しい国」になるべくこれからも共生社会の実現を目指して地道に活動を続けていきたいと思います。このたびは、本当にありがとうございました。
理事長 大野 圭介