認定NPO法人 幼い難民を考える会
1979年からカンボジアの幼児教育と女性の自立支援に取り組んできたNPO。カンボジアの内戦が引き起こした難民の惨状を知った関口晴美さんはじめ保育士の女性たちが、難民キャンプで保育センター「希望の家」を設置。約8,000人の子どもたちの保育を難民の人たちと行った。難民キャンプの閉鎖後も、同国の将来を見据えて再び難民を出さない社会を目指して支援を継続。プノンペン近郊で、保育所を開設し、保育者の育成、保育教材の開発を行い、ノウハウを広げて幼児に愛情をもって接する大人を増やす、幼児期、教育の大切さを親が実感し、地域住民にも理解が深まることに重点を置いて運営した。女性には自尊心を養い、自立する能力を高める目的で伝統織物の技術研修を実施している。また2011年からカンダール、タケオ、コンポンチュナン州に29園の「村の幼稚園」を開設、3年間で地域に運営を引きつぐ取り組みでは、約2,200人の子どもが参加。地域幼稚園の保育者と村の幼稚園の保育者との意見交換や視察を通してネットワークづくりを行うほか、公立幼稚園への保育教材の提供などを行っている。一貫して同国の人たちが主体となって活躍できるよう支える取り組みを継続している。
難民キャンプでは、保育者研修を終えたばかりの若者が定住のためキャンプを離れることもよくある中、難民となったカンボジアの人たちが、 子どもたちを育てていくという考えのもと保育者養成が行われました。会の名称を「考える」としたのは、相手の自立を侵したり、管理するような体制にならないないようにという思いが込められています。将来を担う子どもたちが、安心して暮らせる社会作り、保護者たちが人間らしい生活環境のもとでの自立を一緒に考え、必要なサポートを関連機関や団体と連携することを心がけてきました。
プノンペン事務所を開いた1991年当時、内戦で経済、社会状況は非常に貧しく厳しい状態でした。難民キャンプでの経験をもとに地域に根ざした教育を積み重ねられないかとの思いで、私は1999年からカンボジアの人たちと一緒に仕事をしてきました。今でも内戦の影響は色濃く、特に失われた人材の回復は深刻で、リーダーの不足など困難な点が多々ありました。 再び難民を出さない平和な社会づくりにつながると、活動を続けています。
当初の4ヶ所の保育所の運営経験をもとに、限られた人材と資金でより多くの子どもたちの就学前教育をとカンボジアのNGO をパートナーにプノンペンスラムでの6ヶ所の保育所開設・運営や教育省との協働で全国の公立・地域幼稚園への研修、保育教材の提供を行ってきました。
現在特に力をいれているのが「村の幼稚園」事業で、3年間の支援の後、4年目から地域で幼稚園の運営を継続します。今年2ヶ所の幼稚園が開設されると31ヶ所になり、2011年からの10年間には、2294名が卒園しました。地域での継続運営に必須なのが、保育者の育成です。保育者が知識や保育技術を向上させ仕事に生きがいを見出し、自信を持って保育を続けていけることです。同時に地域行政や管轄の教育局、運営委員会と保護者などが積極的に連携していく仕組みづくりです。
プノンペン事務所ではカンボジア人事務所長を中心に事業の運営管理だけでなく資金集めができるよう中期事業計画作りや人材の安定雇用・組織基盤の強化を行っています。日本からプノンペン事務所の自立をこれからも応援していきます。仕事を通して一緒に働き、知り合った方々はお互いに励ましあい、子どもたちの未来と平和な社会への強い思いを共有しているのを実感しています。長年にわたるたくさんの方々のお力添え、そしてこの度の社会貢献者の表彰、誠にありがとうございます。
副代表理事 関口 晴美