アイランダーサミット学生チーム
佐藤 一樹
2019年10月のアイランダーサミット石垣の開催をきっかけに、石垣市役所が実施している人材育成プロジェクト「Chura★I(チュラアイ)」に参加している地元の沖縄県立八重山高等学校の生徒と、石垣市公営塾に通う、沖縄県立八重山商工高等学校・沖縄県立八重山農林高等学校の生徒等が、持続可能な島の発展と環境維持の為に、島特有の様々な課題に取り組んでいる。
カウアイ島・バリ島・サルディーニャ島が参加した同サミットで、学生らは、島共通の問題である、漂着ごみについて、ビーチクリーンを通じて回収したごみが、その後どのような経緯を辿るのか調査し、プレシャスプラスチックの利用について検討するなど、プレゼンテーションを通じて今後の課題と大きな成果を残した。また、次なるテーマとして、島の公共交通機関を使っての観光パンフレットの作成を行ったほか、環境共生型ツーリズムの研究にも取り組む予定である。
この度は社会貢献者表彰を受賞させて頂きありがとうございます。新型コロナの影響で残念ながら授賞式には参加できませんでしたが、プロジェクトメンバー一同歓喜しておりました。
この活動は元々インドネシアのバリ島にあるグリーンスクールとの交流から始まりました。グリーンスクールとは自然に関する知識を主軸に学び、実践する学校です。この交流を通して本活動の礎となる自然環境への意識が育まれました。そして私たちも自然を守る活動を行おうと、石垣島で開催されていたビーチクリーンに参加しました。ここで私たちは海を観光資源としている石垣島のビーチの本当の姿を目撃しました。ペットボトルや漁具、プラスチック製品などが山のように白い砂浜に打ち上がっており、それは見るも無残な姿でした。この状態を綺麗にするビーチクリーンはとても意義のあることだと思いました。しかしながら、十代の高校生が行う活動としてはあまりに過酷で面白くないものでした。現役の高校生は恋に勉強に忙しい時期なのです。
高校生が継続的にビーチクリーンを行っていくのは難しいという課題に直面しましたが、一方で流行の中心にいるのは私たち高校生だと気づき、ビーチクリーンを高校生に広めることができれば、もっと世の中に広められると考えました。そこで私たちはゲーム性を取り入れたビーチクリーンを考え出しました。チーム競技性を加えたり、おもしろい道具を使えたり、抽選でエコ商品があたるなどこのゲームは現在試行錯誤中ですが、実験に参加した高校生からは「楽しかった」「環境問題に関心が出てきた」「また参加したい」といった声が多数出てきています。
次にまた違う問題が出てきました。私たちが拾ったプラごみは埋め立てられ、雨風でまた海に戻っていったり、島外のゴミ処理場に送られていくのです。つまりゴミを拾うだけでは問題の解決にはならないのです。そこでプラゴミの有効な処理方法について調べたのですが、現在有効な策はないことを知りました。しかし、このような実態をどうにかしたいと思った私たちはプレシャスプラスチックというオープンソースのシステムに出会いました。このシステムはプラゴミを機械で破砕し溶解させて新しい製品を作る装置でした。この装置でリサイクルを体験として学び、少しでもプラゴミの現状を広めていこうと考え実践しています。このプロジェクトのゴールは私たちの子供たちに綺麗なビーチを残すことです。そのために石垣島の高校生でビーチクリーンを持続的に続けることと「プレシャスプラスチック」を運用し、そのノウハウを日本全国の小学校から大学までの行事などに広めていきたいと考えています。私たちがこの世からいなくなるとき、海が美しく綺麗であるために。
八重山農林高校3年 佐藤 一樹