子育て応援し隊 まきのはらパピー
共働きの娘夫婦のため、3年間自分の仕事を休んで孫の子育てを手伝った紅林美江さんは、もっと人の役に立ちたいと思うようになり、牧之原市の市・民共同事業の1つである子育て支援事業に参加。親が楽しんで子育てできる環境を考え、少子化対策にもなるよう、親の緊急時に直接子育てを助けられるような支援をと、2005年に乳幼児の一時預かりをする「子育て応援し隊『まきのはらパピー』」を結成した。
近くに身寄りのいない母親、鬱を抱えた母親、持病で入院中の母親と子どもを抱えた父親、父親が夜勤で双子が生まれた母親、育児放棄の母親、さまざまな問題を抱えた親からの依頼に、15名のスタッフから適任者を選び、寄り添った支援を行っている。市と共同して各地区の公民館で移動子育て支援センターを開設し、ベビーマッサージを教えたり、子育てに悩む親には優しく根気よく寄り添い、親御さんが市の行事や会議に参加する際は集団託児を行ったり、緊急時の当日の一時預かりなど、どんなケースにも対応できる強みを生かして、時代に即した支援に取り組んでいる。
この度は、社会貢献者表彰をいただき誠にありがとうございます。思いがけないことですし、考えもしなかったことですので、自分たち仲間の励みになりました。
私は、共働き娘夫婦のために、3年間自分の仕事を休んで孫育てをしました。とても可愛くて大事に育てました。おかげ様で、元気な明るい子どもに成長してくれました。こんな私でも人の役に立てるのだと思い、市民協働事業の子育て部門に応募し、1年間活動しました。
市と協議の結果、お母さんたちが楽しく子育てし、牧之原市に一人でも多くの赤ちゃん誕生を願って、乳幼児の一時預かりをする「子育て応援し隊まきのはらパピー」を立ち上げました。パピーとは子犬、犬は安産で多産にあやかって命名しました。平成17年から始めメンバーもだんだん増え、今では15名で活動しています。
今までに様々なことに困っているお母さんたちに出会いました。牧之原市外から来て身寄りのないお母さん、初めての赤ちゃんでミルクのあげ方もわからないお母さん、赤ちやんが泣いてばかりで困っているお母さん、産後2週間のお母さんの元にも行ったり、お父さんが夜勤のご家庭で双子が産まれ、上のお姉ちゃんを一時預かりし一緒に寝たり、ということもあり、本当にパピーを始めてよかったと思う毎日です。
忙しい毎日を送っていると、地区の役員さんに民生・児童委員をお願いされ並行してやることになりました。5人の子どもがいる家庭へ訪問すると、そこで見たのは、家の内・外あちこちに使用済みのオムツがそのままポツポツ落ちているという衝撃的な光景でした。この時は11月でしたが、子どもたちはノースリーブや半袖の服だけでいました。当然学校にも行けていません。今の時代にかわいそうに…と毎日毎日学校に行けるように、まずお母さんの心を動かすことを考えました。
いろいろなお話を聞いたり、気持ちをくんであげたり、1年2年経つうちに親子のように何でも言ってくれる関係になれました。子どもたちもだんだん学校に行けるようになり、途中の横断歩道で登校を待つようになり、それがきっかけで今現在でも、毎朝小・中学生の朝の登校の見守りに立ち続けています。
乳幼児期の母親の愛、絆ほど大切なものは、ほかに代われるものではありません。一時的に子どもたちを預かることで、お母さんたちの心にゆとりができれば、また気持ちよく子育てに戻れると思います。私たちの力で、できるだけ助けてあげたいと日々思います。一時預かりが終わり、お母さんがお迎えに来たところへ飛びつく赤ちゃんの笑顔が何よりの宝です。立ち上げたころとは随分変化しつつある子育て、お母さんたちに心を込めてサポートし続けたいと思います。
紅林 美江