社会福祉法人 地蔵会
25年前に現理事長の大野待子さんと施設長を務める奥野満さんが始めた社会福祉法人。千葉県船橋市で運営する工房「空と海」では障がいのある人とともに身体づくり、ものづくりに取り組んでいる。利用者は木工や紙漉き、針仕事などの作品の製作に励む。作品は有名百貨店で取り扱われるようになり、工房にも買い求める人が増えてきたことから、カフェを併設することとなり「らんどね」空と海のレストランを開店した。無農薬の食材を使用したメニューを提供し、利用者はスタッフとして勤務している。
次のステップとして利用者の高齢化も伴い、グループホームを2020年4月に開設。
「紙漉き工房空と海の活動について」
商品としてデパートで売れる作品を創ろう、キャンプや水泳、カヌー、登山にも挑戦し身体を鍛えよう。そんなコンセプトのもと船橋市に25年前小さな作業所を開設したが、周囲から無理だと言われた。ところが4人の知的障がいのある人たちと古い紙漉きの技術を活かした製法で大きな和紙タペストリーを作品にして地元のデパートで販売したところ、大好評で驚くべき売り上げ成績が続いた。勢いは瞬間に全国に広がり空と海の企画展が毎月開催されるようになり利用者と紙工芸品を連日製作するようになった。販売のため20年以上店頭に立つが、障がい者が作りましたとは言わないようにしている。
現在利用者数は70人になり、毎日元気に出かけて来て木工、機織り、刺し子。紙漉き、レストランでの調理助手、菓子づくり、接客などの仕事に励んでいる。その他にも陶芸、絵画を楽しみ、獅子舞や太鼓の練習をし、近所の幼稚園で披露する活動も長年続けている。アウトドアスポーツもできるだけ取り入れ、夏は水泳やカヌー、山登りやキャンプに出掛け、冬はクロスカントリースキーやスノーシューで雪原を歩き自然を満喫した後は温泉に入り仲間とちとカラオケを楽しむ。このように空と海では利用者と職員が日々ものづくりとからだづくり励み創設当初のコンセプトを守り続けてきた。
この度貴財団より表彰状と副賞を賜りましたが、今回受賞された方たちや過去の受賞者のその活動内容に比べ、足元にも遠く及ばないことを恥じ恐縮する次第ですが、空と海設立25年の節目の本年、賞を賜りましたことを利用者、職員とともに喜びあい、更なる飛躍への足掛かりとさせていただきます。
発足当初障がいのある人たちが作ったものがデパートで売れるなんて無理だとか、素人の浅知恵の恐ろしさを思い知らされたとその作品を評されたが、今では施設内のギャラリーや展示広場「ヒュッゲ」を多くの人たちが訪れ、レストランで働く利用者を暖かく見守りながら最高の料理を皆様に楽しんでいただけるようになった。
空と海では利用者の変わらぬ笑顔とその豊かな個性を、これからも支え続ける道を弛まぬ努力で切り拓き続けることで、この度の受賞への心よりの感謝としたい。
理事長 大野 待子