浅口市寄島町アッケシソウを守る会
本州唯一の自生地であり浅口市天然記念物に指定されている「アッケシソウ」の保護のため、自生地および周辺の清掃及び環境整備を行っている。アッケシソウは別名サンゴソウと呼ばれる塩湿地に生息する一年草の植物であり、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。毎年秋には見事な真紅の美しい群落が広がり、県内外から多くの人が訪れる。浅口市寄島町の寄島干拓地で2003年にアッケシソウが初めて確認され、地域住民が中心となって、この守る会が発足され保護されてきた。
アッケシソウは異常気象の影響を受けやすく、2010年の異常気象により発生した毒性ラン藻類の浸食による大量枯死や、2013年に日本で初めて確認されたヨリシマアッケシソウキバガの幼虫による食害など、甚大な被害がもたらされる苦難もあったが、土壌整備や、生育条件の研究、清掃などの本会や地域住民の地道な保護活動の甲斐あって、自生地は当初460㎡であったが現在では2,500㎡と5倍以上にも拡大している。近年では、地元小学校への出前講座や、小中高校や地元企業のボランティアを募り、草刈り清掃を実施し、瀬戸内海が育んできたアッケシソウを貴重な文化財として次世代に継承し、子どもたちの郷土愛を育てている。
1.はじめに
この度は、貴社会貢献支援財団からの栄えある表彰を賜り、アッケシソウを守る会一同感激し、今後の活動への元気と展望を賜りまして誠に有り難うございました。会員一同心からの御礼を申し上げます。つきましては、表彰式と祝賀会への折角のご招待を頂きながら、欠席のご無礼のほどをどうぞお許し下さいませ。
2.アッケシソウについて
アッケシソウは、1891年に北海道厚岸町の牡蠣島で発見され、その町名をとってアッケシソウと命名。和名をサンゴソウ・ヤチサンゴ等と呼ばれている。ヒユ科アッケシソウ属の塩湿地に生育する1年草の植物で、葉は肉質で鱗片状に退化した枝に9月上旬白い小さな花をつける。秋10月中旬全体が緑から深紅に紅葉し、晩秋11月に実を結んで枯れ、翌年2・3月の早春に発芽する。
アッケシソウは地球の北半球に分布し、浅口市が本州唯一の自生地であり、絶滅危惧Ⅱ類に指定されている貴重な植物である。
3.守る会の歴史と活動
浅口市寄島町の干拓地内に、アッケシソウの群生地が発見されたのは今から17年前の2003年11月であった。翌年寄島町の天然記念物に指定され、同時に「アッケシソウを守る会」を結成し保護活動を開始し今日に至る。2006年浅口市の天然記念物に指定される。2009年「岡山景観百選」に選ばれ、以後多くの表彰を受ける。また、守る会設立5周年に記念誌『寄島のアッケシソウ』を発刊した。
守る会の活動内容は、まず第1にアッケシソウの保護育成である。成育を阻害する周辺に繁茂する葦や雑草の年3回(5月・6月・9月)の草刈活動。守る会の作業会員も老齢化し、草刈に難渋していたが、市内高校のスポーツ部の生徒、市内スポーツ少年団、町内小中学校の児童生徒。さらには浅口清掃センターのボランティアの皆さんたちに支えられ、元気に活動を展開している。
9月初旬の「緑のアッケシソウを楽しむ会」開催。10月中旬緑のアッケシソウが紅葉し、美しい紅の絨毯となる景観を観賞してもらうために「アッケシソウ祭」を開催し、県内外からの多くの見学者が訪れる。
近年、郷土の宝物アッケシソウへの児童生徒の興味関心が高まり、1年間を通しての研究発表をする地元小学校5年生、高校では「絶滅危惧種アッケシソウの発芽について」の研究発表で、県大会で優秀賞を受賞した町内の生徒等から、未来への展望を強く感じている。
4.おわりに
以上「アッケシソウを守る会」の活動の概略でありますが、現在心配なことは年々高まる地球の温暖化であります。北海道と比べ浅口市寄島町のアッケシソウが、このような悪条件にどのように耐えぬいて、次代に堅実に伝えられるかが大きな課題であります。
そのような時、貴財団からのこの度の温かい激励の表彰は、私ども守る会にとってこの上ない元気と勇気を下さいました。重ねて守る会一同心からの御礼を申し上げます。
会長 花房 泰志