とっとり・民話を語る会
前身の鳥取民話研究会の活動を通して、民話を語り継ぐことのすばらしさから、平成12年に語り活動へとシフトした。
これまでに鳥取市の小学校ほぼ全てで民話を語り、保育園で、毎月2カ所で3、4、5歳それぞれのクラスに分けて民話を語り、高齢者や障がい者施設、公民館の生涯学習では多いときで100名もの聴衆の前で語り部4、5人で約60分間民話を語っている。
語り部は一人平均30話を語ることができて、聞き手の年齢に合わせた語り口で、話の背景、方言や民話用語、いろり・釜・蓑といった生活用具の実物を見せたり、模擬したりして、事前の準備も怠らない。
国の文化は、地方文化の礎にある。現在7名の語り部会員と共に、伝承文化の継承と拡大に務めている。
第52回社会貢献者表彰をいただき、心より御礼申し上げます。晴れやかな会場で、志の高い方々と面談ができたこと、改めて「社会貢献」の意味を噛み締めています。
社会には明暗があり、それなりの役割が必要と思いますが、表彰された皆さんは貢献を当然のこととして語りあっている、その名誉というか誇りに感動しました。
「民話の語り活動」が、どれほどの社会貢献に値するのか、受賞にあたり、安倍昭恵会長、内館牧子表彰選考委員長、来賓の笹川陽平氏のご挨拶を聞きながら思考しました。
「むかーし、むかし、あるところに…」と、小学校児童を主体にしながら、高齢者にたいしても民話を聞くことが回帰効果や、孫とのコミュニケーションに資することを願って活動しています。
民話は民間説話の略称といれて、文字の無い時代より常民の生活感が「自然との関わり」「人間との関わり方」「教え」など、笑い話・動物昔話など面白く、また怪談・幽霊話など怖い話として、口承で伝えられてきました。日本人にとって貴重な伝承文化で、後世につないでいかなければならないことと確信しています。
しかし、年月の経過は、生活様式・世界観の違い、方言の衰退、語り部の減少など、「ふるさと」が遠くなって行くのを感じています。しっかりと活動を継承すること、口承文芸の原点を見失わないことの大切さを再認識させていただきました。
鳥取県は、とっとり・民話を語る会(鳥取市)、倉吉民話の会(倉吉市)、ほうき民話の会(米子市)、東西4サークルで、全国唯一連合会を組織しています。15年が経ちましたが、ジャンルとしては地味な活動なので、表彰は遠いものと思っていました。
このたびの表彰は、私たちの今後の活動に大きな力を与えていただいたと同時に、希少価値になりつつある全国の仲間、語り部にとりましても大きな励みとなります。
しっかりと、次の世代へ継承すべく、切磋琢磨してまいりますので、よろしくご支援のほどお願い申し上げます。
会長 小林 龍雄