受賞者紹介

第51回 社会貢献者表彰

社会貢献の功績

ひろはたじしゅう・そうだんしつ

ひろはた自習・相談室

(神奈川県)
ひろはた自習・相談室 代表 内田 克代
代表 内田 克代

「教育の格差をなくしたい」との思いから2013年、退職した教員たちが中心となり神奈川県秦野市の大根・広畑地区の小中学生を対象に無償の学習支援をはじめる。毎週月・火・水・金の放課後、1回1時間、原則1対1でそれぞれの子どもに合った支援を行っている。
なかには、不登校や発達に特性のある子もいて、他の子と曜日が重ならないようにするなど、継続的に個別支援を行うことで、子どもたちの自己肯定感や学習意欲を高め、確かな学力向上を図っている。現在、小学1年.6年生約20名、中学1年.3年生約10名がこの教室で学習している。
年々、他の地区から通う子どもの利用も増えている。
そのほか、もう一度勉強をしたいという大人のための「小中学校の教科書を学ぶ大人の講座」、「ボランティア養成講座」等開催し、秦野市教育委員会と連携して、地域の教育力の向上に尽力している。
学習支援の他、2018年1月から新たな事業として、他団体と共同して「みんなの食堂☆広畑」を設立し地域の子どもや高齢者を対象に、世代交流、孤食の防止、食育の推進など、食の大切さ、食を通じた地域の繋がりづくりにも取り組んでいる。

推薦者:秦野市長 高橋 昌和

私たちは、神奈川県の西部にある秦野市で学習支援活動を行う「ひろはた自習・相談室」です。児童数が少なくなった小学校の校舎内に併設されている市の介護予防・生涯学習施設である「広畑ふれあいプラザ」が活動場所です。

2000年にこの施設ができたことで、子どもたちと地域の大人たちが触れ合う機会がぐんと増えておりました。2013年、地域の大人たちの集まりでこんな声が挙がりました。「今までいろいろ楽しませてもらった小学校に、今度は私たちが何か恩返しができるといいね。」
「みんながいい大人になってほしい。それには、何よりも学力を伸ばしてやることではないだろうか」
「放課後に宿題を見てやろう」
「その前に、地域の大人に教科書に親しんでもらおう。大人のための『教科書を学ぼう講座』を開こう」
こんな話し合いから、ひろはた自習・相談室が生まれ、『大人のための教科書講座』も4回程開きました。
そして現在では、元教員だけでなく、退職した企業戦士たち、子どもが好きな主婦など指導者約20名、50名を超える小中学生が週2回通ってきています。一対一の緩やかな個別指導がどれほどの効果をもたらすのか、私たち指導者の悩みどころです。

ちょうど3年前の冬、受験シーズン真っただ中というのに公園で遊んでいる中学3年生の集団に出会いました。その中の顔見知りの二人が、
「僕たちも県立高校に行きたくなった、勉強を教えてほしい。」
と訴えてきました。それから3か月の特訓を経て、県立高校に無事合格、その一年後町で出会うと、
「数学が学年で一番になったよ。」
と明るい笑顔。もう一人も最近出会うと
「大丈夫!卒業できるよ。早く就職して父さんに楽をさせてやりたい。」
そのほかにも、
「韓国の奨学金がもらえるようになりました!」
「特待生の資格が取れて、自分の力で専門学校に行けます!」
等々、嬉しい便りが時々聞こえてきます。自立の芽が伸び始めるのは、高校へ入ってからなのですね。長い目で子どもたちを見守る必要性を感じております。
最近では、特別な配慮を要する子どもたちも通ってきています。私たちのできる範囲で、特別な時間枠を設ける、指導者同士が連携するなどの工夫をしながら、個別指導を進めております。

この度、名誉ある励ましの賞をいただきましたことで、今後もますます地域の大人が一丸となって、地域の子どもたちを支えていきたいと思っております。

代表 内田 克代

  • 補習の様子
    補習の様子
  • それぞれ補習に取り組んでいます
    それぞれ補習に取り組んでいます
  • ボードを使って分かり易く教えます
    ボードを使って分かり易く教えます
  • みんな真剣です
    みんな真剣です
  • わからないこともすぐに教えて貰えます
    わからないこともすぐに教えて貰えます
  • 書き初め
    書き初め
  • 添削中です
    添削中です
  • 2018年最後の食事会
    2018年最後の食事会
受賞者とみなさまをつなぐプラットフォームプロジェクト「ひとしずく」