社会貢献の功績
特定非営利活動法人 アジアの障害者活動を支援する会(ADDP)
会長前島富子さんを中心に1992年に発足し、主にラオスのビエンチャンで障がい者のスポーツ振興と就労支援を行っている。特に力を注いで支援している「車椅子バスケットボール」はサークルのような遊びから始まったが、次第に本格的なチームへ成長を遂げて、今では4つのローカルチームが誕生し、アジアの強豪に数えられるまでになった。ADDPの働きかけで、日本政府の支援で障がい者用体育館が建設され、他にも多くの障がい者スポーツが盛んになった。就労支援として、クッキー作りを学ぶ「ベーカリー研修」を行っていて、作り方を学び、販売も研修生が行う。TOYOTAラオスが販促用に購入してくれたことを皮切りに今では50社以上の取引先がある。また、ろう者への職業訓練が無いに等しかったので、美容院を経営してそこで美容研修を行うことにした。定期的に日本から講師を招き、日本流のおもてなしを学んでもらう。すでに独立開業している研修生もいる。ADDPの活動が縁となり、ラオスと日本の国交樹立60周年を記念した桜の植樹が北部フアパン県で2015年に行われている。現地の障がい者が京都から訪れた植木職人の指導を受け、桜守として桜を育てている。
「私たちはラオスに燃えている」
私たち「アジアの障碍者活動を支援する会」は、1992年任意団体として設立以来、26年間アジアの国々を回って、障害を持つ人々の現状調査を始め、障害を持つ人々が自立した生活を営むまでの現地活動に積極的に介入し、支援を始めてきた。
無からのスタートには、困難があったが、先ずは、障碍者のリーダーの養成をスタートにして、地域社会との交流、障碍者同志のエンパワーメントの支援を続けてきた。
インドシナ半島の内陸のラオスは、世界の福祉情報は、あまり届いておらず、家に閉じこもった障碍者を、如何に、外の景色に馴染ませるかは、苦労の連続だった。
しかし、ラオス支援を決定してから、大きく変化し、現在はラオスを中心とした障碍者の力を社会に理解してもらうツールとして、スポーツを選び、その感動を伝えようと、みんなが夢中になって車椅子バスケットやゴールボウルに挑戦している。
アセアン域内のスポーツ大会でメダルを取ることが夢だったが、昨年のマレーシアアセアン大会では、メダルを8個もゲットし、政府も驚いて、スポーツの力、障碍者の力を認めるまでに変わった。
私たちは、高度なスポーツだけではなく、万人のスポーツとして、ユニバーサルスポーツを通して、誰もが参加できるフライングディスク、卓球バレー等をも推進している。
すべての障碍者が、スポーツに気楽に参加させるためには、簡単なスポーツメニューも大切である。
こうした私たちの支援努力は、ラオス政府を動かし、教育スポーツ省の中にも担当部署も生まれて、現在では、全国障碍者スポーツ大会を開催するまで、大きく変化している。
スポーツの推進だけでは、自立にはならないため、就労支援も並行して実施し、スポーツで会得した、やる気や根性や、練習の苦しさや、勝つことの喜びなども学び合い、スポーツを楽しみながら就労プログラムにも力を注いでいる。
中でも、知的・聴覚・脳性まひの女性たちのクッキー作りは、高度な技術力を産み、今は、どこにも負けないクッキー作りで販路を拡大し収益を得るまでに至っている。クッキーだけではなく、ポリオや聴覚に障害のある女性たちに、美容研修を5年間実施し、自ら美容院を起業したり、ラオスの他の職場への就労に至るまで、確実に働くことから得た、収入の大切さを学び、閉じこもった障害のある仲間たちを誘い合って、スポーツを通して仲間のコミュニケーションを培い、就労へのチャンスをお互いのネットワークで順調な就労体制が整ってきている。
私たちの最初の支援は、車椅子バスケットに力点を置いたが、いまや、ラオス18県にチームが結成するまでに発展し、そのチームメイトが丸ごと、電化製品の修理やオートバイの修理・車椅子の製造販売まで手掛けるようにもなった。
ラオスはベトナム戦争時代の不発弾が山野にあり、その不発弾による爆発事故や、失明や両手足を失って、どん底に突き落とされている子供や、村人たちの生活を脅かしているが、こうしたアクシデントの障碍者が多く居て、そうした人たちへの支援も、多くの協力者の支援の下で頑張ってもいる。
障害があっても生きる望みを与え、何かしらの就労を見出し、スポーツを通してモチベーションを高め、新たな人生にチャレンジしている障碍者が多くなった。
ラオス一国支援から19年。福祉の制度のないラオスでは、私たちのような、NGOが海外からの支援団体と情報交換しながら、通りすがりの単年度支援ではなく、腰を据えて、コツコツと途上国のバリアを越えながら共生してゆく活動が大切である。
この度、はからずも、受章の栄を賜った。
新たな思いに火がついて更に支援への高揚感に満ちている。
今後もしっかりと、福祉外交の思いで、頑張ってゆきたいものである。
アジアの障害者活動を支援する会 会長 前島 富子