社会貢献の功績
社会福祉法人
南高愛隣会(コロニー雲仙)
1977年長崎県雲仙市に障がい福祉の現場での活動を目指し設立された。「ふつうの場所でふつうの暮らし」を目指し、障がいのある本人の願いを叶えるため、試行的な取組みを次々と実践した。職業能力開発のしくみを作って障がい者を職業的自立に結びつけ、グループホームの制度設計・実施でも多くの障がい者の地域生活実現に貢献してきた。2005年、刑務所の中に多くの障がい者や高齢者がいて出所しては再び、刑務所に戻る累犯障がい者の存在に衝撃を受け、「セーフティーネットであるべく福祉、その専門家であるはずの我々が救えていなかった…」という思いから厚生労働科学研究「罪を犯した障がい者の地域生活支援に関する研究」を代表者を務めた、この研究成果を踏まえ司法と福祉をつなぐ「地域生活定着支援センター」を初め、数々の制度が誕生することとなった。2009年に社会福祉法人では初となる更生保護施設「雲仙・虹」を開所し、司法から福祉にソフトランディングするための中間施設を整備した。さらに、被疑者・被告人などにも関わり、更生支援プランを立て、「地域生活の再スタートへの支援」をテーマに福祉的な更生支援を行っている。2013年3月までに自立準備ホームと合わせ延べ124人を受け入れ、支援してきた。
この度は私たちの活動をお認めいただき、平成25年度社会貢献功貢者としてご推薦、表彰いただき、心から感謝申し上げます。
私達にとっては自分たちの歩いて来た40年間を振り返って見る良い機会になり、法人の関係者がそれぞれ自分のことを想い起こし、古い写真等も引っ張り出して眺めながら、思い出に浸りました。
子供の頃から厚生大臣になって、太陽のようにすべての生きる力の弱い人達を救える仕事をしたいと夢見て、30歳近くまで政治の世界で活動していましたが、さすがに大人になると、自分の力の限界と具体的に取り組みたい仕事が見えてきました。
太陽のようにすべての人を照らすような力は到底ありませんが、もしかしたら、ろうそくの火のように身を焦がし燃やす炎を作り出せたら、小さな小さな光であっても、ほんの一隅でも照らすことが出来るのではないかと考えて、家族や仲間と活動を始めました。
当時は、知的障がい者は家庭の中で隠して育てるか、ほんの少ししかない入所施設に、運よく入所でき、その中で一生、保護収容されることに感謝しなければならない時代でもありました。
しかし、せっかくこの世に人間として生まれてきたのですから、『特別の場所で特別の生活を』一生させられるような人生ではなく、『普通の場所で普通の暮らし』を安心して出来るようになれないだろうか?とご本人の身になって考えました。
働く力を高める努力、雇用条件の改善、生活環境の整備等が地域の住民の皆様の協力で進み、2,000人を超える人が、故郷に近い地域で暮らせるようになりました。
今では、少年院や刑務所に居た障がい者や高齢者も罪を繰り返す人も少なくなり、触法、累犯問題に対しても支援の輪が広がり、ただただ感謝の気持ちで一杯です。
ありがとうございました。
社会福祉法人 南高愛隣会
前理事長 田島良昭