受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

ふくしまけんけいさついかい

福島県警察医会

(福島県福島市)
福島県警察医会 会長 中村雅英
会長 中村雅英

検視や解剖を専門に行う監察医がいる東京23区や横浜市とは異なり、福島県内では警察から嘱託を受けた警察医が検視に立ち合う。県内の警察医は約40人で、そのうち半数が60歳以上と高齢化が進み、後進の確保が問題となってきている。そんな中、震災における福島県内の犠牲者(1,605体12月22日時点)の検案業務を震災発生当日から開始し、昼夜を問わず実施し、12月22日までに630体の遺体検案に携わった。

推薦者:社団法人 福島県医師会

この度の東日本大震災によって、福島県内における犠牲者の数は、2月末の時点で1,605体であった。そのうち福島県警察医会会員の多くは、震災発生当日の3月11日から発見されたご遺体の検案業務を開始し、最終的には会員14名で全体の約39%に当たる630体の検案業務に携わった。残りの約1,000体の検案は、福島県立医科大学法医学講座の法医学専門医、ならびにボランティアとして駆けつけた全国各地の法医学専門医によって行われた。

特に、福島第一原発周辺の警戒地域での遺体捜索及び死体検案については、福島県警察をはじめ、全国から派遣された警察官やボランティアとして参加された法医学専門医に委ねられたが、この方々の功績も多大なものであった。

一方、本震災による甚大な津波被害を受けた福島県浜通り地区や、ダム決壊、人家を巻き込む崩落被害地区を担当する警察医は、自ら被災したにもかかわらず、各自がその使命感に基づき検案業務に携わった。

本震災発生間もない時期に於いては一度に多数ご遺体が発見されたことから、ライフラインが途絶状態であったにも関わらず、担当地区を越えて検案業務に従事した会員もいた。またその中には、福島第一原発警戒地域内から避難しながらも、検案業務に従事していた会員もいた。

しかし、表舞台に出ることが殆どない検案業務であるが、「人生の最後を大切にしたいという警察医会の気持ちが、社会一般に認められたことにより、この度名誉ある表彰を受けたものと会員一同喜んでいるところである。今後とも受賞に恥じないよ.う会員一同、医師としての社会的使命を果たすとともに、より一層の社会貢献を行う所存である。