受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

 かんの ともゆき

菅野 智之

(享年21歳:岩手県陸前高田市)
菅野 智之

陸前高田市で、大津波警報が出ているなか、祖母を安全な場所に避難させたたあと、地域の消防団に加わり、避難する車で渋滞していた道路で、交通整理を行なっていたが、津波にのまれ犠牲となられたと思われる。当時菅野さんはコンビニエンスストアに勤務しており、震災から5ヶ月後、店舗が営業を再開するとお客から「菅野さんが車を誘導してくれたおかげで逃げることが出来た」と感謝されたという。

推薦者:近江 恵子

3月11日、ちょっとした行動が人の生死を分ける事となりました。

私の職場に、菅野君という21歳になる男の子がいました。菅野君は今時の子にしては珍しく正義感のある子で、この日両親の経営するコンビニで一緒に働いていましたが、具合が悪く、午前中で早退して、自宅で休んでいたはずでした。

そして大津波警報が出た時には、高台に逃げていたと思っていました。ところが、実際は一緒にいたおばあちゃんを安全な所へ避難させた後、危険を顧みず自ら地域の消防団に混じって車の誘導をしていたそうです。陸前高田の町中がパニックになって道路が渋滞していたのです。

車で逃げて渋滞に巻き込まれ、命を落とした人がたくさんいたと後に聞きました。5ヶ月後コンビニが再開してから「ファミマの人が、車の誘導をしてくれたので逃げる事ができました。もし渋滞したままだったらみんな流されていましたよ。本当にありがとうございました」とあるお客様にいわれました。私は「あっ、菅野君の事だ。」と思い背筋がゾクっとしました。

21歳の菅野君の咄嗟の自らを犠牲にした行動がたくさんの人の命を救ったのです。

彼は優しい目をした笑顔の素敵な子でした。

 

近江惠子様の推薦書より