社会貢献の功績
特定非営利活動法人 ミランクラブジャパン
マダーブ・ナラエン・
マナンダール
ネパールは義務教育制度が確立されていない。それに男尊女卑やカースト制度が根強く残っており、そのため多くの女の子が学校へ行きたくても行けないでいる。
「ミランクラブ」が発足した当初は女性の識字率は約 15%であった。将来結婚し、母となり子を育てるとき、母親が教育を受けていなかったら生まれてくる子どもには教育の大切さを十分に伝えられない。そこで、「国の将来を担う子ども達にぜひ教育を!」と思い、ネパール女性の就学支援活動を始めた。
1982 年から私は学生の傍ら、ネパール語を教えるアルバイトをしていた当時、少ないアルバイト代から個人的に 2 人の女の子の教育支援をやっていた。大学卒業後、社会人となりアルバイトを止めたが、やっぱり女の子を学校へ行かせる目標を達成したく、里親制度を立ち上げることを考えた。そして、妻に相談したところ彼女も賛成し、ネパール語を学んでいた仲間に連絡をとり勉強会を再開することを決めた。私のアルバイト代全額を女の子の教育に回すことにした。会の名称も「ミランクラブ(出会いの広場)」とし、88年に発足した。
里子の条件として女の子で両親とも、または父親がなく経済的に困っている子を優先として選んだ。92年に現地のNGO団体「ミランクラブネパール」と手を結び、里子制度を理解してもらえるよう努力を続けてきた。当初は、現地の友人達と村々を回り村長さんや村人から情報を収集し、また公の新聞などにも数年間をかけて募集広告を出した。
今は奨学金支援の条件を満たした子どもが順番を待っている状況である。最初は1名から始めた里子も年毎に増え、現在はネパール国内18郡、総計約600名になる女の子の就学支援をすることができるまでになった。
私自身は女性の地位が上がらない限り国の発展はないと考えている。「ミランクラブ」はこの20年間で多くの女性を育てその影響は大きい。教育を受けた里子達は、教師、医師、エンジニア、看護婦、建築家などになり今やネパールの社会に貢献をし始めている。
また、私達は里子の支援のみならず、教育環境にも力を注いでいる。カトマンズ郊外のダルマスタリ村に職業研修センター、小中一貫校、寄宿舎、図書館などを建設して「ミランダルマスタリ学園村」を整備。学園村の一部を村人に開放して、女性の自立支援や地域住民への社会貢献も頑張っている。
残念ながらネパール女性の識字率は未だに30%未満である。これを一日でも早く上昇させ、国の発展に反映できればと思っている。
「ミランクラブ」の活動を共に歩んだ会員、多大なるご支援をいただいた関係機関や諸団体、私達の活動に賛同しご協力いただいた多くの皆様方に心より感謝を申し上げるものである。
(理事長・マダーブ ナラエン マナンダール)
受賞の言葉
ネパール女性の識字率は低く、現在でも 30%未満です。経済的な苦しさと男尊女卑やカースト制度による差別も影響しています。教育の大切さは母親から子供へと伝えられるよう、私たちは支援の中心を女子においてきました。多くの方々の協力を得て、地道に活動を続けてきた私たちの歩みを評価してくださり、心から感謝いたします。