平成21年度 社会貢献者表彰
人命救助の功績
いしがみ えつじ
石上 悦二
(58歳/静岡県静岡市)
こばやし ひさみつ
小林 久光
(49歳/静岡県静岡市)
かとう よしのり
加藤 芳則
(39歳/静岡県静岡市)
石上 悦二
小林 久光
加藤 芳則
平成20年7月1日13時37分頃、3人は静岡市葵区の内牧川で勤務中、釣りをしていた男性(65歳)がうつ伏せで流されていくのを発見した。3人で連携しすぐに119番通報し、前日の雨で増水した川に入って男性を救助するとともに救急車が到着するまで、心臓マッサージや人工呼吸などの救命措置を施し男性を救助した。
推薦者/全国消防長会
当日の昼過ぎ、静岡市葵区与左衛門新田の内牧川に一人で釣りをしていた男性が、川に転落した。そのとき、家庭ごみ収集業務のため偶然信号待ちで停車していた同市清掃公社勤務の石上さんが、転落する瞬間を目撃した。交通の妨げにならないよう収集車を停車させ、すぐさま落ちた場所に向かったが、男性はすでに10数メートル下流に流されていた。
同僚たちの車が数台集まり出した頃、たまたま信号で止まった小林さん(同職員)は、その異変に気付き橋の袂から一気に川に飛び降りて流される男性を追った。そして、川原を先回りして追いかけていた石上さんと二人掛かりで、胸元まである水の中から男性を確保した。その場所は、安倍川本流との境で流れも強く濁流の中であった。
二人は、急流の中ようやく中州へ男性を引き上げ、何度も大声で男性に呼びかけた。しかし、男性の返事は無く、心拍、呼吸ともに停止していた。小林さんは、直に心臓マッサージを開始した。状況を見守っていた加藤さん(同職員)は、事態の緊急性を感じ消防署への通報と他の同僚への指示をし、その後救急車や救助隊員の誘導にあたった。
現場が川の中州ということもあり、救助隊員が到着するまで時間がかかったが、約30分間二人は決して諦めることなく心肺蘇生法を実施し続けた。
家庭ごみ収集業務は、曜日によって搬入工場が変わる。幾つもの偶然が重なった結果ではあるが、仲間との協力連携により、尊い一つの命を救うことができた。
Mr. Etsuji Ishigami
(58 years old, Shizuoka Japan)
Mr. Hisamitsu Kobayashi
(49 years old, Shizuoka Japan)
Mr. Yoshinori Kato
(39 years old, Shizuoka Japan)
On July 1st, 2008, while their garbage truck had stopped
at a traffic light near the Makigawa River in Shizuoka, Mr. Ishigami, Mr.
Kobayashi and Mr. Kato saw a man being swept along face down by the current.
They immediately rescued him, then called an ambulance and continued applying
CPR until it arrived.
Recommended by Fire Chiefs' Association of Japan
受賞の言葉
石上 悦二
この度は誠に名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。信号待ちでたまたま止まった橋の上から、川を眺めていました。その時、釣りをしていたと思われる男性が、川に落ちる瞬間を見たのです。まさかとは思いましたが、落ち方が不自然だったので、ただ事ではないと直感しました。とにかく何とかしなければいけないと思う気持ちだけで、川に向かって走っていきました。安倍川本流に流される前に、何とか間に合い、小林さんと助け上げることができました。その後、男性も無事に回復されたと聞き、本当に良かったと思いました。
小林 久光
今回、このような立派な賞を頂き、誠に感謝しております。今になって思えば、人が流されていると聞き、考える事無く体が勝手に動いていました。「とにかく早くしなければ」と思った時、橋の袂から川に飛び降り、川を下りながら助けに向かっていました。川から引き上げると、意識がなく呼吸もないとわかりましたので、すぐに見様見真似で心臓マッサージと人工呼吸を行いました。救急車が来るまでは、自分ができることをしようと思い無我夢中でした。助かって本当に良かったです。
加藤 芳則
この度は、このように栄えある賞をいただき、身に余る光栄でございます。 普段通る仕事の経路で、このような出来事に遭遇するとは全く思ってもいませんでした。人が落ちたと聞いて、すぐ川を見ると男性が流されていました。仲間二人が男性の救助に向かい、自分は、早く通報をと思いました。今考えますと咄嗟のことでしたが、3人がそれぞれ何をすべきか、ということが上手に分担できたのだと感じています。また、会社の仲間にも感謝しています。お互いに声を掛け合い協力してくれました。当たり前のことをしただけですが、男性の方が無事回復されたと聞きまして安心しております。