平成15年度 社会貢献者表彰
第二部門/多年にわたる功労
ふくやま きょうこ
福山 恭子
(昭10. 9. 4生 / 大阪府 茨木市)
1981年大阪市盲人情報センターに視覚障害児のための文庫を開設、子供達にコンサートを開いて音楽を聴かせ、また長期の努力の結果、大阪府立図書館に点字図書とテープのコーナーが設置されるなど、視覚障害児のための活動を多年に亘り展開されている。
推薦者:川島 恭子
福山さんは、31年前、大阪府茨木市で仲間と子供文庫を始めた。活動8年目、大阪市の児童書専門店で選本中、「こんなに子供の本があるのに、見えない子の本は無いのね」という声が耳に入った。双子の一人が視覚障害の若いお母さんだった。地域文庫で〝どの子にもよい本を〟と言ってきた自分が恥ずかしく、そのまま逃げ帰った。この言葉が胸につきささって離れず、1981年大阪市の盲人情報文化センターの一室で視覚障碍児のための「わんぱく文庫」を始めた。府立・市立の盲学校や未熟児網膜症の会などを通じて呼びかけて「お話し」を中心に初めて会を持ったその日、本屋で会った女の子も来てくれて大感激。
愛情深く、企画力、行動力に富む福山さんの周囲には大勢の協力者が集まり、20年間で点字本は800タイトル、テープは500タイトルになった。選書は特に厳しく行った。子供達を牧場へ連れ出し動物と遊び、音楽家の協力を得てコンサートを開くなど活動は広がった。マスコミの協力で遠距離から点字図書・朗読テープへの要望も来る。福山さんの熱心な働きかけの結果、新設の大阪府立図書館こども資料室にわんぱく文庫が移転できた。多くのテープや点字本が並べられ、見えない子が見える子と同じ図書館で入り交じって本と過ごし、良い交流が生まれている。
受賞の言葉
「人に知られる事なく、名声をもとめず尽くす人達を表彰する」という主旨のもとに、私が選ばれたことは非常に名誉な事と思っています。まだまだ文化の狭間に取り残されている視覚障碍児の為に、健常児と同じ様に本が読める環境を作って行きたい。全国の図書館に視覚障碍児のサービスについての啓蒙を続けいくのが今後の課題です。粘り強く仲間と共に頑張って行きます。