受賞者紹介

平成15年度 社会貢献者表彰

第一部門/緊急時の功績

きしかわ ちょうじ

岸川 長治

(昭31. 3.12生 /長崎県 下県郡)
すとう じんさく

主藤 甚作

(昭16. 6.15生 /長崎県 下県郡)
岸川 長治
岸川 長治
主藤 甚作
主藤 甚作
平成14年12月20日、対馬豆酘(つつ)湾で韓国籍台船の乗組員が、転錨作業中誤って右手指4本を切断し出血多量の重症となったため、厳原救難所の出動要請を受け、大時化の中、漁船で現場へ向い、暗夜の高い波浪で困難を極めた救助に成功し尊い人命を救われた。
推薦者:(社)日本水難救済会

受賞の言葉

岸川 長治

私の行った人命救助が人の延命に貢献できたことは、救助員として誇りに思っております。今後も、救助員・漁師に頑張っていきたいと思います。

主藤 甚作

大時化の夜、岸川さんと協力して救助に成功。私は海に生きる者として、そしてこの生まれ育った豆酘の海を大事にして安全操業に十分注意し、身体の続く限り救助員・漁師という仕事に頑張っていきたいと思います。

平成14年12月20日午後8時25分頃、長崎県下県(しもあがた)郡対馬豆酘(つつ)湾に荒天避泊のため緊急入域していた韓国籍台船 KUM GANG6001 の船上で転錨作業中、乗組員が誤って跳ねた錨鎖で右手指4本を切断し出血多量で生死に関わる重症となったため、厳原海上保安部に救助を求めてきた。

悪天候下、巡視艇での救助は時間がかかり、当人の生命に関わることから、長崎県水難救済会厳原救難所に出動の要請があった。救難所から出動の指示を受けた岸川氏は、大時化の中で救助船(漁船)にも危険が伴うため、経験豊富な僚船の主藤氏に協力を依頼した。

当時の天候は、曇天、北東の風18m、波高・湾内1m、外海4~5m、対馬海峡海上強風警報、壱岐対馬地方に強風波浪注意報発令中であった。両氏は主藤さん所有の第8幸栄丸で午後9時40分頃中豆酘港を出港し、午後10時頃現場に到着した。北東からの強風により波浪とうねりが高く、暗夜台船に接舷して被救助者を自船に移乗させることは、救助船自体が台船に衝突して二次海難の発生が懸念され困難を極めたが、強風の連吹の合間に幾度となく接舷を試みた。岸川さん、主藤さんの息の合った協力と高度な操船技術により、遂に接舷を強行し、重症を負った被救助者を 危険を冒して移乗させることに成功。豆酘港で待機中の救急車に引き継ぎ、救助を完了した。