受賞者紹介

平成11年度 社会貢献者表彰

第二部門/多年にわたる功労

かんべ じゅうしろう

神戸 十四郎

(大正14. 4.16・宮崎県宮崎市)
46年間にわたって、カトリック修道会カリタスの園が運営する宮崎市の乳児院「つぼみ寮」、子どもの養護施設「竹の寮」、老人ホーム「松の寮」の医療奉仕と入所者の心のサポーターとして尽力されている。
推薦者:杉本 サクヨ

昭和28年、教護院時代から無料で医療奉仕を続けた母を継ぎ、カリタスの園診療所の開設とともに、当時勤めていた県立宮崎病院を辞めて自宅(医院)に戻り、嘱託医として医療奉仕を始めた。

以来、現在まで毎日、自身の医院の昼休み時間と診療後の夕方からの2回、カリタスの園に行き診察するのが氏の日課である。乳児院には家庭に恵まれない零歳から2歳まで約40名の乳幼児、養護施設には学童児約10名、老人ホームには90名前後の高齢者が入所している。

急患があれば夜中でも日曜祭日でも駆けつける。自身の余暇時間もカリタスの施設で過ごすことが多く、子どもたちや老人たちの良き話し相手となり、入所者に信頼され、彼らの心の拠り所となっている。

旅行が好きだが、年1回がやっとである。飛行機に乗るのにも聴診器持参で、機中で急病人を診たこともある。

嘱託医としての報酬はあるが、殆どボランティアの医療奉仕活動である。

“医の心、奉仕”は、母から伝えられた。

氏の母・神戸美和女史は、宮崎県で開業した女医としては2番目、同県女医界の先駆けである。昭和7年カリタスの園に教護院、同8年孤児院が開設されるとともに医療の無料奉仕を引き受け、同27年末に病いで引退するまでの20年間、入所者の診療を続けた。

親子2代にわたる医療奉仕の実践は、67年間に及んでいる。