受賞者紹介

第62回 社会貢献者表彰
あんしんははとこのさんふじんかれんらくきょうぎかい

一般社団法人 あんしん母と子の産婦人科連絡協議会

(埼玉県)
一般社団法人 あんしん母と子の産婦人科連絡協議会 理事長 鮫島 浩二
理事長 鮫島 浩二

さめじまボンディングクリニックの医院長、産婦人科医鮫島浩二医師夫妻が中心となって、全国の産婦人科医に声を掛け2013年に会が発足。特別養子縁組の法律が施行されたばかりの頃、予期せぬ妊娠に困っていた中学生と出会ったことをきっかけに、30年以上にわたり、生まれてくる子どもの幸せを第一に、予期せぬ妊娠をした女性の心のケアとその女性自らの選択を尊重し、特別養子縁組に取り組んでいる。「産婦人科医は、赤ちゃんに恵まれない夫婦と、望まない妊娠をして追い詰められた女性の狭間にいる。両者の間に立ち、生まれてくる命を守れるのは産婦人科医しかいない。これは使命だと考える」という鮫島医師の理念のもと、産婦人科医の立場から福祉と医療をつなぎ、子どもを育てられない母から、授かることが困難な家庭へ生まれてきた赤ちゃんを託す、3方にとって望ましい環境を作ることができる。予期せぬ妊娠をした女性は、誰にも相談できず孤立し、危険な自宅出産をしてしまい、最悪の場合事件になることがある。こうした悲劇を防ごうと現在、24の医療機関が協力・連携している。

推薦者:こどもSOS ほっかいどう 代表 坂本 志麻

この度は名誉ある賞をいただき深く御礼申し上げます。

私は特別養子縁組制度が制定された1987年以来お産をやりながらこの支援に関わりをもってきました。私たち産婦人科医は、妊娠して困った方々と、望んでも妊娠しないで苦しんでいるご夫婦のはざまで仕事をしています。困っている双方をつなぎ活動してきましたが、さらに効果的に二つの命を守り、人生を再構築する道はないかと模索し、12年前から全国25の産婦人科施設で連携して妊娠中から生母の相談を受け、医療施設で見守りながら無事に出産したのち、赤ちゃんと共に過ごして熟慮していただき、どうしても自分で育てることがかなわなければ特別養子縁組をする仕組みを作りました。

生母に対しては産後のメンタルケアや避妊指導もしばらく必要です。また、中高生の妊娠相談や緊急避妊のためのピル処方を無料で行い、不幸な妊娠防止に努めています。 

養父母選びは、里親認定を受けているのを最低条件に養父母養成講座、2回のご家族の面接、家庭訪問、外部委員の評価を受けて理事会で慎重に行っています。生母の退院の後、養父母に入院していただき、分娩室での誕生セレモニーから始まり育児指導を行い、退院後は自宅訪問して関わりを持ち続けます。縁組した子どもたちは150人を超え、家族同志お互いにラインでつながり情報交換をし合い、年に3回は集まったりZoom会議を開いたりして交流を深めています。

養子当事者たちも中高生~成人も増えてきました。思春期の彼らと定期的にZoom会議を開いて彼らの本音を聞き、成長を見守ってきました。ほとんどの養子たちは告知されて大事に育てられていることに幸せを感じて育ってきています。それでも思春期になり、なぜ自分は実親に育ててもらえなかったのかという疑問やモヤモヤ感、生涯自分が背負っていく「養子」というレッテルに押しつぶされそうな重荷を感じることもたびたびあるようです。

養子当事者たちの支援が必要な時代がやって来たのを感じています。2024年夏クラウドファンデイングに訴え、10人の養子当事者たちを養子縁組大国のアメリカに連れて行き、ユタ州のセントジョージで養子を育てている家庭にホームステイさせ、ブライスキャニオンなど大自然にも行き、世界の広さと自分の悩みの小ささとを体験させました。人の情けにも触れ、彼らの意識に大きな変化があったことを実感しました。皆様のお力もお借りして彼らの人生を好転させる支援をこれからも続けたいと思います。

  • 2022年11月 あんさんセミナー(都内)
    2022年11月 あんさんセミナー(都内)
  • 2023年11月 あんさんセミナー(筑波)
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  • 2024年5月 あんさんセミナー(札幌)
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  • 読売新聞記事(2013年9月20日)
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