淵脇 次男
淵脇 佳子
2019年4月15日午後5時50分頃、「子どもが溺れている!助けて!」という女性の声を自宅の1階で聞いた佳子さんが自宅前の池を見に行くと、子ども(男児7歳)が溺れていた。佳子さんはすぐに引き返し、2階にいた次男さんに助けを求めた。
次男さんが池に向かうと、子どもは沈んで見えなくなっていたため、高さ1.3mの柵を乗り越え、そのまま池に飛び込んだ。水は濁っていて子どもがどこにいるのかわからなかったが、周囲で見ていた人の声を頼りに手探りで池の中を探し、子どもを発見。そのまま抱きかかえ水面から1.3m離れている縁まで子どもを抱え上げて、柵を乗り越え池の縁で待っていた佳子さんに子どもを引き上げてもらった。そのまま子どもを抱えて自宅へ戻り、ショックのあまり声も出ずガタガタ震えている子どもを毛布等でくるみ、救急車が来るまで温め抱きかかえていた。救急搬送された後、子どもは肺気腫と発熱を患い数日入院したが、無事に回復し元の生活に戻っている。
この度は、人命救助による警察署からの感謝状に始まり、社会貢献者表彰という名誉ある表彰を頂く事になり、大変光栄な事と、御礼申し上げます。
思い起こせば、昨年の4月、妻が夕食の支度をしている時、通りすがりの女性の声を聞きつけ、外に出ると顔まで水に浸かり、手足をばたつかせている子どもの姿が見えたそうです。
「子どもが溺れている」との妻の知らせで見に行った時には、子どもの姿は見えず、池を囲う柵を乗り越え、思わず池に飛び込んだのですが、子どもを手探りで捜し当て、どうにか抱きかかえ、妻にバトンタッチをしました。妻は私に声をかけると同時に119番通報しており、毛布にくるみ、救急車の到着を待っておりましたが、随分長く感じられたものです。放心状態の子どもさんは、大きな怪我もなく幸いでしたが、一時的なショックで発熱と話が出来ない状態が続いたそうです。その後、水を飲むことが出来る様になり、無事に退院され、学校にも通えるようになったと聞き、心から安堵したものです。今回の事は無我夢中でした事ですが、気が付いたらそういう行動をとっておりました。後に、水深約2mと聞きましたが、家の前のため池でしたので、飛び込めたのだと思います。これが、どこか他の通りすがりの所なら、同じ行動がとれたか疑問ですが、たまたま家にいた時間という偶然も重なった事だと感じます。
子どもというのは未来あるかけがえのない存在です。ある小説の一節に、「子どもは太陽だ。子どもたちが輝いている限り、そこに未来は必ず訪れる」とありました。そういう未来である事を祈るばかりです。今回の表彰を受けるにあたり、薪型コロナウイルス感染症の猛威と水害等で苦しまれた方々が大勢おられます。こういう時こそ、今回頂いた社会貢献表彰の意味がある事を痛切に感じております。
この様に晴れがましい式典に出席出来る事など、2度とない事と思い、私たち夫婦、誠に有り難い事だったのですが、出席を辞退させて頂きました。これからの余りの人生において、この表彰は私共の励みとなり、重ねて御礼申し上げます。
このコロナ禍が終息をむかえ、日常の生活に戻ります事を願い、今後も精進してまいりたいと思います。誠にありがとうございました。