最上 都寿美
2018年1月19日午後1時頃、都内から自宅へ戻るためJR常磐線下り列車に最上さんは乗車していた。松戸駅を過ぎた辺りで、隣に座っていた妊婦の様子が苦しそうだったので声をかけると、「陣痛がはじまった」「臨月だ」とのこと。最上さんは驚いたが、妊婦はまだ話をする余裕があったので、様子を見守っていた。
柏駅に着くころ、更に苦しそうになった妊婦は「破水した」と言って床にくずれてしまった。最上さんは偶然持ち合わせていたバスタオルを取り出し、妊婦の下に敷いた。近くにいた女性に別のバスタオルを渡して周りから見えないよう妊婦を囲ってもらった。列車が駅に到着したときに、最上さんはホームに出で駅員に「発車しないで!」と大声で伝えた。何事かとやってきた駅員に事情を説明し、タオルや毛布を持ってきてもらうように依頼した。
車内に戻ると「もう無理です!」言いながら妊婦がズボンを脱ぎ出したので、「なんとかするしかない!」と最上さんは意を決した。「もう産まれる」という声とともに赤ちゃんの頭が見え、瞬く間に生まれた。駅員から借りた毛布に赤ちゃんを包み、救急隊の到着まで介抱し、母子のピンチを救った。
今回はこの夢のような式典に参加させていただき心から感謝しております。
受賞が決定した時も全く想像がつかない式典にただ賞状を受け取って…くらいにしか考えていませんでした。
この式典は私にとっても家族にとっても一生わすれられない出来事になりました。
そしてこの式典につながったあの出来事。
忘れもしない1月19日。
息子の外泊許可が出て、久々に我が家に向かっておりました。
駅で電車を待っている間も息子は久々のお外に喜びチョロチョロ動き出し、たまたま乗り込んだ6号車。横に座っていた女性の異変に気付いたのは北千住前後だったとおもいます。パッと見、妊婦さんと気付かず、何かの持病の発作だと思ったのですが、聞けば臨月。
一番パニックになっていたのは私かもしれません。柏駅に着く頃には他の乗客が救急車を呼んでくれました。
あの時の私は本当に無我夢中で、駅員の方々にも「早くも毛布ときれいな布を持ってきて!」とかなり上から目線で指示していたこと、反省しております。
ネット等では一部の心ない人たちからの批判もあり、ヘコんだ時もありました。そして私自身、後になって冷静に考えるととても怖い事をしたんだな、と…。母子ともに無事だったから良かったけど、一歩間違えたら…ただ苦しんでいる人を私は放っておくことは出来ません。そしてきっとこの先もそれは変わりません。
人命救助で表彰された方々皆さんそうだと思います。
日々、子育てに追われてきた私の人生の中で、出産という私の経験が人の役に立てたことを誇りに思います。
最後に今回の表彰式典で私に関わって下さった全ての方々にお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。