受賞者紹介

第52回 社会貢献者表彰
かぶしきがいしゃ とくしまる

株式会社 とくし丸

(徳島県)
株式会社 とくし丸 取締役ファウンダー 住友達也
取締役ファウンダー
住友達也

地域の過疎化や核家族化などによる買い物難民は全国に825万人いると推計され(2018年農林水産省調査)大きな社会問題となっている。徳島県下に住む母親から買い物に苦労している話を聞いた(株)とくし丸の代表取締役を務める住友達也さんは ①買い物困難者の支援 ②地域スーパーの売上支援 ③雇用の創出を目的とした移動スーパーのモデルをつくり、2012年に営業を開始した。
移動スーパーという形は行商から始まり昔からその手法はあったが、品揃え、売れ残りや近隣小売店舗との問題が壁となって長続きしない状況が続いていた。 ところが、住友さんが考えたとくし丸の方式は、販売パートナーにはそれぞれ個人事業主となってもらい、仕入れ・販売・ルート等ノウハウを全て教え、実際にスタートしてからも研修を行う。また相談窓口を設け、孤立させないように全体会議なども開催する。販売パートナーはとくし丸が契約した地元のスーパーの商品を持ち出し、売れ残ったら返品できるいわば販売代行で、提携スーパーが取り扱う生鮮食品や生活雑貨等の移動販売を行う。400品目1,200点の商品を冷蔵機能を備えた軽車両に積んで各エリアを巡回し商品を販売。
車で一軒一軒の家を回る商売は、時代の流れに相反するようにみえるが、「周回遅れのトップランナー」になれる可能性を秘めているという。利幅が少なくても、買いに来る人から”ありがとう”と声をかけられる充実感と満足感は何事にも代えがたいものがあるそうだ。現在、とくし丸の販売パートナーは400台に届き、日販平均(今年3月)は89,000円を超え、社会貢献性も高く持続可能な収益を得ながら地域で働くことができる仕事として注目されている。

この度はありがとうございました。

今回受賞された皆さまには、様々なアイディアと工夫で社会問題を解決されていると感じました。個人で人命救助を行われた方々には、おそらく自然発生的であろう、各人の多大な勇気に敬意を抱きます。

我々株式会社とくし丸は、全国で移動スーパーをやっている企業です。

“やっている”と言っても、我々とくし丸本部と地域のスーパーが契約し、その地域スーパーと販売パートナーと呼ばれる個人事業主が契約し、販売パートナーが自ら購入した特殊仕様の軽トラックに乗って販売を行います。

今回いただきました賞金は、社会貢献活動、時には人命救助を実際に行っている、全国の販売パートナーの皆さんに何らかの形で全額還元させていただきます。

とくし丸は、“買い物難民”のサポートをミッションとして存在しています。日々の買い物をサポートするため週2回、希望された高齢者のお宅に一軒一軒訪問することで、結果として自然に高齢者の見守り活動を行うことができています。高齢者には、見守ろうとして接すると煙たがられることが多々あります。週2回食品の販売という、必然的行為があるからこそ、我々の見守り活動が存在しています。

これまで全国では複数件、訪問したらお亡くなりになられていた、という事例もありますが、その何倍も未然に体調不良を察知し、救急車を呼んだり、地域包括支援センターと連携したりして命を救った例もあります。

また毎回のように、販売に行っている我々が「ありがとう」と言われる、馴染んだ1対1の関係性の中に、思いやりが生じています。

とくし丸のマニュアルに、“売りすぎない、捨てさせない”という言葉があります。食べきれない量の食材を買おうとするおばあちゃんには、売り止めをしています。短期的、表面的な関係性からでは生まれない発想です。

今後ますます日本全国で高齢者比率は高まり、地方都市ではインフラの効率化≒脆弱化、都市部では高齢者数の拡大する時代が迫っています。

2019年7月現在、約430台のとくし丸が全国44都道府県で稼働していますが、まだまだ台数が必要です。

我々とくし丸は、より多くの“買い物難民”のサポート、見守り活動ができるよう、今後さらにエリアの拡大とサービス向上に努めたいと思います。

執行役員 SV部 部長
荒川 伸太郎

  • 車両
    車両
  • 移動スーパーの中身
    移動スーパーの中身
  • 販売風景
    販売風景
  • 販売風景
    販売風景
  • とくし丸のキセキ表紙
    とくし丸のキセキ表紙
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