受賞者紹介

平成24年度

東日本大震災における貢献者表彰

きたむら たいしゅう

北村 泰秀

(63歳:宮城県石巻市)
北村 泰秀

幼稚園の園長で住職でもあり、大震災発生時から5月までの2ヵ月間、石巻市の法山寺幼稚園にて避難してきた530人を受け入れ、衣食住の支援を行った。震災後の2、3日は切羽詰った状況で、避難所の指定を受けていないことから、行政からの援助がなく、瓦礫や汚泥手が山となり道もないところ、重機を借りるのに大金を支払い、道路を整備し、自ら食糧を確保しにいかなければならない状況であった。僧侶であるため葬儀の仕事もしながら、5月半ばまで幼稚園に泊り、避難所の秩序を守りながら避難者の衣食住を支援続けた。

推薦者:社団法人 宮城県私立幼稚園連合会 理事長 村山 十五
宮城県知事 村井 嘉浩

去年の3月11日午後2時46分、今まで経験したことのない強い地震に見舞われ、一瞬頭の中が真っ白になってしまいました。

その後の対応に追われている中、津波警報が発令されたので二番目の園バスの子、預かり保育の子どもたちを園に残すようにしている間に避難者が押し寄せて参り、混乱状態に陥ったのでした。

530人余りの避難者を受け入れた
法山寺幼稚園園舎

地震発生50分後に津波第一波が押し寄せ、多数の人々が濡れて上がって来たので、更なる混乱を招き、パニック状態でした。

寺と園から衣類、布団を提供し、昔ながらのストーブ八基に点火し暖を取りました。

津波到来後に園児の祖父が参り、自分の孫と3人の園児が車ごと流され高台にいるので助けてくれとの要請があり、教職員三人が救助に向かったのでした。当園は海岸から1・5キロの地点にありますが、その参道入り口から70m先まで波が到達していました。

そのような過酷な状況の中、道路は瓦礫が山積みになり、目的地まで山沿いの竹藪等を歩き園児4人を第二波の恐怖を感じながら、無事救助した次第です。

雪が舞い散り一段と寒さも増し、避難者も530余名になり、保育室10室とホールが満杯になり身動きが取れない程で老若男女、生後20日位の新生児や当時の園児も20数名居り、まずは、小さい子に寺でおにぎりを作り分け合って食べさせました。

その夜は、ライフラインも途絶え、余震が続く中、余りにも多くの人々で横になることも出来ず、蝋燭の明かりで眠れぬ一夜を過ごしたのでした。

住職を務める法山寺

避難所の指定を受けていないので自活を強いられ、2日目から水の確保、食糧の調達などに動き、水産加工会社から冷凍魚を頂き、園所有のバーベキュー用の鉄板を出し、燃料は、園の渡り板を燃やし飢えを凌いだのでした。

飲料水は、タンクの残量分しか無く大切に使い、生活用水は防火用水を使い、命を繋ぎ始め、4日目の夕方に自衛隊が登って来て、幾分の光明が見え始めたのでした。

避難所を閉鎖するまでの2ヶ月間、一職員は連日、他の職員は交代で園に泊まり避難者の世話をし、その上、重機、小型ダンプカーのリース料も当園で負担し出来るだけ生活の支障の採用に協力したのでした。

私達の行ったことは当然致すべきことで、今回の表彰の栄に浴することは、恐縮の至りあり、又、反面大変光栄に思います。誠にありがとうございました。

今後は、未来を担う子どもたちの為に精進致し、石巻復興に向けて頑張って参りたいと思います。