動物介在活動 ぷらす
静岡県御殿場市にあるハンセン病施設(国立駿河療養所・私立神山復生病院)に犬を連れて、入所者たちとのふれあい活動及び交流を続けている。2016年11月発足。連れて行く犬は、家庭で飼われている犬だが、飼育者はそれぞれ専門的な資格を持ち、行政ボランティアに長年参加していた犬、盲導犬の訓練施設からキャリアチェンジした犬、殺処分寸前であった犬もいる。活動時間は毎回約30分程度で、簡単な自己紹介のあとそれぞれ芸などを披露、入所者のみなさんとリハビリ体操などを行い、犬たちとの触れ合いタイムに入る。楽器を手にしながら季節にあった唱歌や童謡を2曲歌い終了となるが、毎回プログラムは工夫をしている。長年強制隔離され、過酷な人生を強いられてきた入所者のみなさんに楽しい時間を過ごしてもらう。
訪問活動以外では、行政、国立ハンセン病資料館の協力を得ながら、各地の市役所、公共施設などでハンセン病企画展を開催している。勉強会を重ね学ぶうちに、多くの人々にハンセン病企画展を通じてハンセン病を知り、関心を持ってもらうことが必要と社会啓発活動に力を入れている。
社会福祉法人 三島市社会福祉協議会
ハンセン病施設に犬を連れてふれあい活動をする、各行政機関を巡回してハンセン病企画展を行う、というささやかな活動に対して、第54回社会貢献者表彰を賜り、誠にありがとうございました。すべてを手弁当で行う活動なだけに心より感謝申し上げます。
ハンセン病は誤った国策により隣近所・学校・警察・行政等が加害者集団になってしまった悲しい歴史があります。二度と繰り返してはならないと啓発活動をしていますが、昨今のコロナ禍では重なることも多く、心を痛めております。
今これを読んでくださっている「あなた」は何歳ですか?20代?40代?60代?それ以上ですか?人生を振り返ると今までいろいろなことがあったと思います。しかしハンセン病の強制隔離によって現在入所している方々は50年、60年、70年~という長い年月をここで暮らしておられます。「あなた」が様々な経験に彩られてきたと同じ年月を閉じ込められてしまった、まさに人生被害なのです。特効薬があり隔離の必要はない治る病気であるのに、長きにわたって家族まで差別と偏見にさらされてきています。
しかしそうした中でも、しっかりと地に足をつけ生き抜いてきた方々がいらっしゃいます。30分程度ですがせめて犬と共に温かい時間を過ごして頂けたらという願いで始めた活動です。魅力的な方々との出会いにより私たちは多くを学ばせて頂いています。そしてそれをもっともっと知って頂きたい、それをお伝えしていかなくてはならない、と捉えております。
私たちの活動は、施設のご理解・ご協力だけではなく、本当に多くの方々の支えで実現しております。また寿命が人間より短い犬たちの愛らしい姿が維持できるよう、何よりも最優先にケアと負担をかけないプログラムに細心の注意を払っています。お一人でも「来てほしい」という方がいる限り、続けたいと思っています。
開催する企画展では、当事者の方々の作品や思いも綴っております。ハンセン病のことを何もご存じない方がご覧になってもわかりやすい内容にしています。どこかでぷらすのハンセン病企画展をみかけたら足を運んで頂きたいですし、また私たちの活動によって、施設に行こう、ハンセン病のことを知りたい、学校の勉強でとり入れてみたい、ということに通じたら幸いです。
最後に表彰式に出席して、実に多くの活動が世の中にあることを改めて知ることができました。素晴らしい活動の数々に驚き、とても学びと励みになりました。
代表 伊東 郁乃