社会貢献支援財団

こども読書推進賞

受賞者紹介


第4回「こども読書推進賞」受賞者紹介

【受賞の言葉】
資金も施設も何もないところから始めたバス図書館が、30年という記念の年に大きな賞を頂きました。
 始めた頃の親と子から次の世代に移り、時には祖父母、親、子と3代が揃うこともあります。
 地域の子供が減り、地元の小学校に通う他地区の子供たちにも利用されています。
 子供のいる限り続けたいと思います。
おおかけなかよしばすとしょかん
大欠なかよしバス図書館(秋田県鹿角市)



廃バスを利用した図書館が開設され、子供たちを主体に親が協力する形で30 年にわたり運営されて過疎地域の子供たちの読書を支えてきた。
【推薦者】十和田図書館

Okake Nakayoshi Bus Library
Kazuno City, Akita Prefecture

Established using a discarded bus, the Okake Nakayoshi Bus Library has supported children's reading in remote regions for 30 years. Its activities are based on cooperation provided by parents that is focused on children.
Recommended by Towada Library

虎渡 進氏
 昭和51年、秋田県鹿角市の農村地帯・大欠地区に、廃車になったバスを利用した図書館が誕生した。市立図書館から10kmも離れた地域の子供たちに読書の喜びを与えたいとの親たちの願いを、親子が協力して実現させたものである。親子一緒に実施した「なかよし祭り」の収益や、住民からの寄付で図書購入費を賄い、運営は子供たちが主体となり、親がそれを脇から援けた。

バス図書館の外観(出入口)

 設立後10年が過ぎた頃から農家の兼業共稼ぎが一般化して図書館を手伝える親が激減し、館の継続が危ぶまれる事態となったが、虎渡夫妻、とりわけ虎渡美智子さんの献身的な努力がバス図書館の存続を支えた。

 子供たちが近くの墓地の清掃で得たお駄賃の一部を図書購入費に充て、寄贈図書も増えて、蔵書は現在2,500冊を超えている。

 子供たちに読書の楽しさと絵本や「図書館便り」作りを教え「みちこ先生」と慕われた虎渡美智子さんは平成15年に亡くなり、夫の進氏が引き続き来館児の世話を続けている。開設当初の子供たちが今や我が子を連れて来館し、離れた地域の子供の利用も増えて、バス図書館は開設30年目の現在も地域の子供たちに読書の楽しみを与えている。

バス図書館内部